高齢者の介護は、社会に絶対に必要な仕事です。
それなのに報われないことが多く、働く人の負担ばかりが大きくなっています。
都内に住む50代のある女性は、お年寄りの世話をすること自体は好きでした。
けれど介護の会社で働くうちに、会社からの制約の多さに、肉体的にも精神的にも耐えられなくなり、退職しました。
「何かをしないと食べていけない。でも50歳を過ぎて再就職もできない」
そう言って私のコンサルに来られたのが始まりです。
何度か話すうちに出てきた答えが、「やっぱりお年寄りのお世話をしたい」でした。
そして彼女は、フリーの介護士として起業しました。
現在は週2日の稼働だけで、時間にも経済的にも余裕をつくり、都内で一人の生活を楽しんでいます。
「介護士でも起業できるのか」「フリーランスで本当に稼げるのか」と思われるかもしれません。
この記事は、実際にフリーランスとして仕事を得た50代女性へのコンサルをもとに、介護士がひとりで起業するまでの手順をまとめたものです。
特別な資格も、大きな資金も使っていません。
介護士がフリーランスで稼げる理由
介護の現場では、こんな声をよく聞きます。
- 「ヘルパーさん、病院の付き添いをお願いできませんか」
- 「買い物や掃除を手伝ってほしいけれど、介護保険が使えないのね」
- 「高齢の親が一人で外出するのが心配で」
こうした介護保険ではカバーできない困りごとは、実はたくさんあります。
ところが介護保険を使うサービスは、できることが厳格に決まっているため、柔軟に応えることができません。ここにビジネスチャンスが生まれます。
個人で介護保険外のサービスを提供することで、新しい働き方が実現できるのです。
実際に、介護施設や訪問介護事業所で働いていた人が独立し、フリーランスとして活動する例は増えています。

保険外サービスには、どんな仕事があるのか
介護保険外のサービスには、たとえばこうした仕事があります。
- 病院の付き添い(受付から診察後の説明までのサポート)
- 外出サポート(買い物、趣味の場への付き添い)
- 家事手伝い(掃除、片付け、衣類の整理)
- 話し相手、見守り(家族の留守中の訪問)
- スマホや家電の操作サポート(家族が教えられないことのフォロー)
これはほんの一例です。実際にフリーランスで活動している私の受講生は、夜間の付き添い、外出サポート、旅行の同伴などを仕事にしています。
特に家族が遠方に住んでいるケースでは、こうしたサービスの需要が高くなります。
都会だけのニーズではありません。地方に住んでいることが、そのまま強みになります。
大分に住む知人は、お母さんの世話をデイサービスに頼んだものの、制約が多すぎて断念しました。
その後あちこちに連絡を取り、やっとの思いでフリーで動いてくれる人を見つけたそうです。地方だから無理、ということはありません。
地方こそ選択肢が限られているため、フリーで動ける人がいると助かる家族が多いのです。
フリーであれば、自分にできること、自分がしたい時間だけを仕事にすればいい。
アイデア次第で広がっていくところが、この働き方の魅力です。

介護士が起業するまでの3ステップ
「やってみたいけれど、何から始めればいいのか」
実際にフリーランスとして仕事を得た人は、次の3つの順番で動いています。
1. 屋号を決める
個人で活動するとき、ビジネス名(屋号)があると信用度が上がります。
高齢者にもわかりやすく、覚えやすい名前がいいでしょう。
「介護サービス下山」「しもやま高齢者支援サービス」のような、そのままの名前でかまいません。
愛称をそのまま屋号にする人もいます。
「さっちゃんサービス」のような呼び名のほうが、かえって親しんでもらえることもあります。
本格的に収入を得るなら、個人事業主として働くことになります。
難しく考える方が多いのですが、個人事業主になるのは税務署に開業届を出すだけで、手数料もかかりません。
書き方は税務署で親切に教えてくれます。納税さえすればよいので、実際には売上が立ってから手続きしても遅くありません。
利益が出たら自分で確定申告をするだけ。
会社員が医療費や副業で確定申告するのとほぼ同じです。
2. サービスと料金を決める
サービスとは、簡単に言えば「お客様が望むこと」です。
今までの経験を思い返せば、できることはいくつも挙がるはずです。
料金は、あくまで目安ですが次のくらいです。
- 1時間 3,000円〜4,000円
- 移動をともなう場合は出張費を追加
この金額を見て「高い、無理だ」と思う方がほとんどです。
介護職としての経験で考えると、「安くしないと依頼が来ない」と思いがちだからです。
しかし実際には、「お金を払って希望どおりのことを頼めるなら、こんなにありがたいことはない」と言ってくださる方が少なくありません。
たとえば、こんな相談があります。
「孫の結婚式に出たい。でも車いすで一人では東京に行けない。一生に一度のことだから、いくらかかっても行きたい」
この願いに応えられるのは、公的サービスではありません。
フリーランスは公的なサービスではなく、お金を払える方のためのサービスです。
対象は全員ではなく、特別な対応を求めている方だけです。
必要最低限を担うのが公的サービス、それ以上を叶えるのがフリーの介護士の役目、と考えるとわかりやすいと思います。
サービスの価値と金額をきちんと伝えられるようになることも、フリーランスとして続けられるかどうかの分かれ目です。
価値が伝われば、適正な料金で仕事は取れます。
今回のモデルになった女性も、当初は「おばあちゃんからそんなにお金は取れない」という気持ちがあり、受け取ることに苦しみました。
ビジネスとしてお金を受け取るマインドを養うところまで扱うのが、フリー介護士養成講座の特徴です。
怪しいスピリチュアルな方法ではありませんのでご安心ください。
3. 仕事を得る
実際にフリーランスで仕事を得た方法を紹介します。
ケアマネジャーに相談する
ケアマネジャーは高齢者の困りごとをよく知っているため、保険外サービスが必要な人を紹介してくれることがあります。
信頼関係を築いておくと、仕事につながりやすくなります。
「自分にはできないことを、お金で引き受けてくれるなら助かる」というのは、実際にケアマネジャーから聞く言葉です。
地域の町会やサークルを活用する
町会や高齢者サークルでチラシを配ったり、口コミで広めたりするのも効果があります。
高齢者が集まる場所に、自分から出向くことです。
顔を知ってもらうだけで身近に感じてもらえるようになり、声をかけられやすくなります。
SNSで発信する
「地域名+介護サポート」で発信すると、思った以上に届きます。
実際に利用した方の声を紹介するのも良い方法です。
「お年寄りがSNSを見るわけがない」と思われるかもしれません。
そのとおりで、ご本人はまず見ません。
狙いは親のことを心配している息子さん、娘さんです。
お子さんに向けて発信するから、問い合わせが来ます。
実際に届いた依頼にも、こういうものがあります。
「地方に住んでいる母の様子を見に行ってほしい。母は元気で介護は必要ないけれど、やはり心配なので」。
訪問のたびに写真や動画が届き、支払いもクレジットカードでできる。
そのことを喜んでくださいました。
祖父母の側に余裕がなくても、都会で働いている息子さんから依頼を受ければ、料金はきちんといただけます。
住んでいる場所ではなく、誰に向けて伝えるかで決まります。
どんな仕事が実際に成立しているのかは、介護保険外サービスで起業した女性の実例や認知症の高齢夫婦を自宅で支える|泊まり込み1回4.3万円の実例もあわせて読んでみてください。
介護士が起業して得られるもの
介護士がフリーランスとして働くと、こうしたことが可能になります。
- 働く時間を自分で決められる
- 得意なことを活かせる(無理な依頼は断れる)
- 収入を増やせる(アイデア次第)
- 感謝されながら仕事ができる
施設や事業所に縛られず、自分のペースで働けることが最大の魅力です。
しかも、誰にも頼めなかったことを引き受けるサービスなので、本当に感謝されます。
介護の仕事をしながら子育てをしている方も、自分の親を介護している方もいます。
フリーなら時間の融通がきくので、自分自身の生活が先に立ちます。
組織にいると、ルールや時間の制限があって「してあげたいのにできない」と失望する場面が多いはずです。
フリーの介護士なら、したいことを納得のいくまでできます。
同じ介護の仕事でも、お客様が喜び、自分もやりがいを感じられるようになります。
時給で対価を受け取るのではなく、アイデアで対価を受け取る働き方です。
だからこそ、経済的にも時間的にも、自分の望む形に近づけていけます。

まとめ
「フリーの介護士なんて無理」と思っている方は多いと思います。
けれど実際にフリーランスで収入を得ている人はいますし、私の受講生も仕事を続けています。
- 介護保険でカバーできない困りごとは、たくさん残っている
- 介護士としての経験があれば、特別な資格も大きな資金もいらない
- 屋号を決め、サービスと料金を決め、仕事を得る。順番はこの3つだけ
- 依頼者は本人とはかぎらない。遠方に住む家族に向けて伝えれば依頼は届く
「やってみようかな」と思われたなら、まずは最初の一歩を踏み出してみてください。
あなたの経験とスキルは、きっと誰かの役に立ちます。
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