「フリー介護士に興味はあるけれど、本当に仕事なんてあるのだろうか……」

これは、セミナーや相談会で私が最もよく受ける質問のひとつです。介護施設や訪問介護の仕事はイメージできても、フリー介護士としてどうやって仕事を獲得するのか、なかなかピンとこない方も多いのではないでしょうか。

今回は、実際に私の講座で学んでいる受講生が、フリー介護士として初めて仕事を受けた体験談をご紹介します。

フリー介護士になった後、元職場へ挨拶に行った

その方は、特別養護老人ホームで長年働いてきました。現在は別の仕事を週に数日しながら、フリー介護士としても活動をスタートしています。

フリー介護士として動き始めてから、まず行ったことがあります。

お世話になった元職場へ挨拶に行き、「フリー介護士として活動を始めました」と伝えた

すると職員の方から「何か困ったことがあれば連絡するね」と言ってもらえました。その時は、社交辞令のように聞こえたそうです。

ところが、その言葉が現実になります。

1か月後、本当に電話がかかってきた

挨拶に行ってから約1か月後、元職場の特養から電話がありました。

「遠方の病院へ利用者さんを連れて行かなければいけないのですが、ご家族がどうしても対応できなくて。施設も人手不足で……お願いできますか?」

こうして、その方は通院付き添いの仕事を受けることになりました。

時給 3,500円

通院付き添いの報酬として受け取ることができました

なぜ元職場はその人に依頼したのか

この話を聞いて、とても興味深いと感じました。SNSで集客したわけでも、広告を出したわけでもありません。ただ挨拶に行っただけです。

なぜ依頼が来たのか、私は理由が2つあると思っています。

1

施設の利用者さんのことを深く理解していた

2

施設側が、その方の仕事ぶりをよく知っていた

介護の仕事では、信頼が何よりも重要です。どれだけ立派な資格があっても、「この人なら安心して任せられる」と思われなければ仕事にはなりません。逆に、「この人なら利用者さんを大切にしてくれる」という信頼があれば、自然と声がかかります。

元職場は、その方がどのように利用者さんと接してきたかを知っていました。だからこそ、困った時に一番最初に思い出してもらえたのです。

フリー介護士に必要なのは、派手な営業力ではない

フリー介護士に興味を持つ方の中には、「営業が苦手で……」と話される方がたくさんいます。でも今回の事例を見ると、最初から派手な営業をする必要はないことがよく分かります。

もちろん、将来的には自分で仕事を獲得する力も必要になります。でも、最初の一歩はこんなところから始まることが多いのです。

  • 今まで築いてきた人間関係や信頼関係
  • 退職後も大切にしてきたつながり
  • 日頃から積み重ねてきた、真面目な仕事ぶり

実際、この受講生は後からこう話してくれました。

「私はすごくラッキーでした」

確かにタイミングは良かったかもしれません。でも私は、それだけではないと思っています。日頃から誠実に仕事をしてきたこと、退職後も関係を大切にしてきたこと。そうした積み重ねがあったからこそ、チャンスが巡ってきたのだと感じます。

フリー介護士は「介護が好きな人」のための働き方

この事例を通して、フリー介護士に向いている人の姿も見えてきます。それは、「介護の仕事そのものが好きな人」です。

  • 今の職場の環境に悩んでいる
  • もっと利用者さんに寄り添う時間をつくりたい
  • 自分らしい介護を実現してみたい

反対に、「とにかく楽をしたい」「誰かから仕事をもらいたい」という気持ちだけでは、なかなか長続きしません。今回の受講生が仕事を得られたのも、利用者さんや職場の仲間との信頼関係を丁寧に積み上げてきたからこそです。

◇ ◇ ◇

まとめ

フリー介護士の仕事は、突然どこかから降ってくるものではありません。でも、これまで積み重ねてきた経験や信頼が、思いがけないきっかけで仕事につながることがあります。

今回の受講生も、特別な営業はしていません。退職後に元職場へ挨拶に行き、「何かあれば連絡するね」という一言から、本当に1か月後に仕事の依頼が来ました。

もし「もっと利用者さんに寄り添いたい」「今とは違う介護の働き方を考えてみたい」と感じているなら、フリー介護士という選択肢を知る価値はあると思います。

よくある質問

Q1
フリー介護士になるためには、まず会社を辞める必要がありますか?
A
いいえ。今回の方も、別の仕事を週に数日続けながらフリー介護士として活動しています。いきなり退職するのではなく、副業・兼業から始める方も多くいます。まずは小さな一歩から始めてみてください。

Q2
フリー介護士の仕事は本当にありますか?
A
あります。ただし、待っているだけでは来ません。これまでの人脈や信頼関係を活かしたり、自分から行動したりすることが大切です。今回のように、元職場から依頼が来るケースも実際にあります。

Q3
営業が苦手でもフリー介護士になれますか?
A
大丈夫です。むしろ利用者さんやご家族との信頼関係を築くことの方が大切です。最初の仕事は、これまでの信頼関係から生まれることも少なくありません。「営業が苦手」は、フリー介護士をあきらめる理由にはなりません。