ケアマネジャーさんが、利用者さんを紹介してくれました。
お礼は、どうすればいいのでしょうか?
介護保険外サービスで独立すると、地元のケアマネジャーから紹介されて仕事をすることが多いです。
良い仕事を紹介されたら、お礼したくなる気持ちは分かりますが、ちょっと待ってください。
法律違反になる可能性があるのです。
お金はもちろんですが、菓子折りもです。
この記事では、ケアマネさんから仕事を紹介してもらうこととお礼について、法律を確認した上でご説明します。
お礼の代わりにできることもお伝えします。
あやふやなままで仕事をしていると危険ですので、最後までしっかりとご覧ください。
第1章:紹介してもらうことは、まったく問題ありません
最初に、はっきりさせておきます。
紹介してもらうことは、何の問題もありません。
フリーランスとして独立したら、色々な人からの紹介は仕事を得るいちばんの王道です。
積極的にやってください。
「紹介してください」
「どなたか、お困りの方はいませんか」
この2つを口に出すことは、恥ずかしいことではありません。
当たり前のことなので、遠慮せずに言ってください。
問題になるのは、紹介そのものではありません。
紹介してもらったあとに、何かを渡すことです。
第2章:お礼を渡してはいけない人たち
まず、こういう方たちには渡さないでください。
- ケアマネジャー
- 地域包括支援センターの職員
- 医師や看護師などの医療関係者
- 行政の窓口の担当者
- 弁護士・税理士などの士業
理由は、法令と職業倫理で、お礼を受け取ることが禁止されているからです。

いちばん大事なこと
あなたが罰せられるという話ではありません。
受け取ったケアマネジャーのほうが、立場を悪くします。
つまり、お礼を渡すという行為は、お世話になった方を困らせる行為になってしまうのです。
あなたが感謝の気持ちでしたことが、相手の首を絞めます。
実際の条文
介護保険の運営基準に、こう書かれています。
指定居宅介護支援事業者及びその従業者は、居宅サービス計画の作成又は変更に関し、利用者に対して特定の居宅サービス事業者等によるサービスを利用させることの対償として、当該居宅サービス事業者等から金品その他の財産上の利益を収受してはならない
(指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第25条第3項)
条文を読むと、名指しされているのは「居宅サービス事業者等」です。
介護保険の指定を受けた事業者のことです。
保険外で個人で働くフリー介護士は、この文言にそのまま当てはまるとは言い切れません。
ですから「あなたがお礼を渡すと違法です」とは言い切れません。
ここは法律のグレーゾーンですね。
それでも渡さないほうがいい理由
理由は3つあります。
1つ目。ケアマネジャーには、公正中立が求められています。
特定の相手に偏らないことが、仕事の前提として求められている職種です。
お礼を受け取った時点で、その前提が崩れます。
2つ目。事業所の内規で、受け取れないことがほとんどです。
法令に当たるかどうか以前に、職場のルールで禁止されています。
受け取った本人が、上司に説明できなくなります。
3つ目。地域包括支援センターは、さらに厳しい立場です。
地域包括支援センターは市町村が設置していて、市町村が直接運営している場合と、法人に委託している場合があります。
市町村が直接運営している場合、職員は公務員です。
公務員が仕事に関して金品を受け取ることは、法律で禁じられています。
第3章:金額の大小は、関係ありません
「現金はまずいけれど、お菓子くらいなら」
そう考える方が多いですが、条文に書かれている言葉を、もう一度見てください。
金品その他の財産上の利益
「金品」だけではありません。
「その他の財産上の利益」まで含まれます。
つまり、こういうものが全部入ります。
- 現金
- 商品
- ギフト券・商品券
- お菓子・菓子折り
- 食事をごちそうする
- その方だけ料金を割り引く
金額が大きいか小さいかという問題ではありません。
判断の分かれ目は「紐づいているか」です
ここが、いちばん実務的なところです。
紹介してくれたことと、渡すものが紐づいているかどうか。
たとえば、こうです。
◯ 普段からお世話になっているケアマネさんに、お中元やお歳暮を送る
グレーゾーンではありますが、紹介と紐づいていないので、通ります。
✕ 「◯◯さんを紹介してくださって、ありがとうございました」と言って、お菓子を渡す
同じお菓子でも、こちらはアウトです。
「紹介のお礼です」と言った瞬間に、お菓子が対償に変わります。
紐づいた瞬間に、金額は関係なくなります。
第4章:迷ったときの目安は、ひとつだけです
相手が誰なら渡していいのか。
判断に迷ったら、この1点だけを見てください。
その人の仕事に、公正中立が求められているか。
公平さが求められる仕事
- 公務員
- ケアマネジャー
- 医療関係者
- 行政の担当者
- 弁護士・税理士などの士業
どの方も、特定の相手に偏らないことを仕事の前提にしています。
個人としての活動やビジネス関係
- 友人
- 知り合い
- 家族
- ほかの個人事業主やフリーランスの方
同じ立場でやっているフリー介護士どうしなら、問題ありません。
「紹介してくれたら、いくらお礼します」と決めておくのも自由です。
渡す相手が、公正中立を求められる仕事かどうか。そこだけで決まります。
第5章:お礼の代わりにできること
「では、感謝の気持ちはどう伝えればいいのか」
フリー介護士ができることは2つあります。
1つ目:利用者さんの側に還元する
ケアマネジャーに何かを渡すのはいけませんが、紹介された利用者さんにサービスするのは自由です。
たとえば、こういう形です。
◯◯さんからのご紹介の方は、少しお得にしています
いつもは30分ですが、今回は45分お伺いします
ケアマネジャーにとっても、悪い話ではありません。
自分が紹介した利用者さんが得をするからです。
2つ目:こまかく報告する
こちらが本命です。
ケアマネさんも、医療関係者の方も、紹介した人がその後どうなったかを、とても気にしています。
自分の判断が正しかったのかどうか、知りたいのです。
だから、こと細かに連絡してください。
「先週、初回で伺いました」
「◯◯さん、少し表情が明るくなっていました」
「ご家族から、こういうお話がありました」
報告そのものが、いちばん喜ばれるお返しになります。
そして、お金は1円もかかりません。
第6章:紹介される人になりましょう
せっかく紹介されても、1回きりで終わらず、次もまた紹介してもらえる人になりたいですよね。
「紹介される人になる5つのコツ」があります。
1. 報告が早くて、ていねい
ケアマネジャーは、記録が命の仕事です。
こちらから報告があると、その記録が埋まります。
報告があると、ケアマネさんの仕事が楽になるのです。
2. すぐ動く
「様子を見に行って欲しい」
「明日、対応できませんか?」
「今週から定期的に訪問して欲しい」
この状態に対応できる人は、本当に少ないです。
だからこそ、動ける人は重宝されます。
3. 断るときは、その場で早く言う
いちばん困るのは、待たされることです。
「できるかな、できないかな」と2日も3日も返事を寝かせると、その時間が丸ごと無駄になります。
できないなら、その場で「できません」と言ってください。
断ったことが悪いのではありません。
返事が遅いことのほうが、はるかに困らせます。
4. できないことを、正直に言う
無理をして引き受けて、事故になるのがいちばん怖いことです。
「すみません、それはできません。別の方を当たってください」
その場で返事をもらえるほうが、忙しい相手にとってはありがたいのです。
自分が無理をしてまで、仕事を受けてはいけません。
仕事を選べるのも、フリー介護士のメリットの一つです。
5. 利用者さんの小さな変化を教えてくれる
ケアマネジャーは、毎日は行けません。
だからこそ、代わりに見てきてくれる人が貴重です。
「最近、少し食欲が落ちているようです」
「玄関の段差で、つまずきそうになっていました」
こういう一言を持ってきてくれる人は、手放したくなくなります。
フリー介護士は、自分ができる範囲のサポートをすれば良いんです。
困っている人を全員を救うのは国の仕事。
皆さんは、自分を大切にしながら、ご縁のある人に向き合うことが大切です。
第7章:まとめ
- 紹介してもらうことは、まったく問題ありません。「紹介してください」と口に出すのは、恥ずかしいことではありません
- 問題になるのは、紹介してもらったあとに何かを渡すことです
- あなたが罰せられるのではありません。受け取ったケアマネジャーが立場を悪くします
- 禁止されているのは「金品その他の財産上の利益」。お菓子も、食事も、割引も入ります。金額の大小は関係ありません
- 分かれ目は「紹介と紐づいているか」。お中元は通りますが、「紹介のお礼です」と言った瞬間にアウトです
- 迷ったら「その人の仕事に公正中立が求められるか」だけで判断してください
- 代わりにできることは2つ。利用者さんの側に還元することと、その後どうなったかを報告することです
感謝を伝えることは、人としてとても大切です。
しかし、感謝の表現を間違えると、相手に大きな迷惑をかけてしまいます。
この記事を何度も読んで、繰り返し、依頼されるようになってくださいね。
なお、ケアマネジャーから紹介をもらう方法については、ケアマネに渡すチラシに何を書けばいい?あなたの思いではありませんにまとめています。
また、介護保険の枠の外で働くという考え方の全体像は、こちらにまとめています。
介護保険外の自費サービスに興味のある方は、7日間のメール講座をご覧ください。
順を追って分かりやすくお伝えしています。
出典
この記事は2026年9月時点の情報にもとづく一般的な内容です。条文が直接の対象としているのは介護保険の指定を受けた事業者であり、保険外で個人が提供するサービスへの適用範囲については、個別の状況によって判断が分かれる場合があります。地域包括支援センターの運営形態や、事業所ごとの内規も地域によって異なります。判断に迷う場合は、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口にご確認ください。



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