介護美容の資格を取って、マルシェに出店している。
ネイルは人気があって、毎回それなりに人が来てくれる。
でも、こんなことを感じていませんか。
「一日がんばったけれど、売上はそれほどでもなかった」
「出店料や材料費を引いたら、ほとんど残らない」
「喜んでもらえたけれど、そのあとの仕事にはつながらない」
マルシェの準備には、時間がかかります。
道具をそろえて、チラシを作って、当日は朝から一日施術をする。
それだけがんばって、手元に少ししか残らなければ、割に合わないと感じるのも当然です。
でも、私はこう考えています。
マルシェを、その日の売上だけで評価するのは、もったいない。
マルシェには、その日のお金より大きな価値があるからです。
それは、将来のお客様と、直接出会えることです。
この記事では、私が主宰するフリー介護士養成講座で、マルシェに出店している受講生さんと個人コンサルで話したことをもとに、マルシェを次の仕事につなげる考え方と、3つの準備をお伝えします。
マルシェに何度か出ているのに、そのあとの仕事につながらない方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
※受講生さんの事例は、実際の個人コンサルでのやり取りです。ご本人が特定されないよう、お名前や活動地域などは書いていません。
マルシェの価値は、その日の売上だけでは決まらない
たとえば、こんな2つのマルシェがあったとします。
Aさんのマルシェ
売上:10,000円
施術した人数:15人
このあとも連絡できる方:0人
Bさんのマルシェ
売上:5,000円
施術した人数:7人
このあとも連絡できる方:5人
※数字は、考え方を説明するための例です。受講生さんの実績ではありません。
どちらが成功でしょうか。
その日の売上だけで見れば、Aさんです。
でも、これから介護美容を仕事にしていきたいのなら、Bさんのほうが、先の可能性を広げています。
Bさんが出会った5人のうち、一人が、あとでサービスを頼んでくださるかもしれません。
定期で通うお客様になってくださったり、お知り合いを紹介してくださったりすることもあります。
広告を使って、こうした方と一人つながろうとすれば、お金がかかります。
マルシェなら、施術の料金をいただきながら、それができるのです。
そう考えると、マルシェの見え方が変わってきませんか。
その日の収支と、先につながる成果を分けて考える
もちろん、出店料や材料費、時間のことも考える必要があります。
赤字が続いてもいい、ということではありません。
連絡できる方が増えても、そのあとまったく仕事につながらないなら、やり方を見直す必要があります。
大切なのは、その日の収支と、将来のお客様につながる成果を、分けて考えることです。
「今日は、これだけしか売れなかった」
そう考えていた方は、もう一つ、こう考えてみてください。
「今日は、将来のお客様になるかもしれない方と、何人出会えただろうか」
そう考えるだけで、次に何を直せばいいかが見えてきます。
ただし、誰でもいいから連絡先を集めればいい、ということではありません。
あなたのサービスを本当に必要としてくださる方と出会い、そのあともつながっていられるようにする。
そのための準備が要るのです。
「ネイルします」だけでは、本当のお客様に出会えない
ある受講生さんは、毎月マルシェにネイルのブースを出していました。
毎回、それなりに人は来てくれます。
でも、次の仕事につながりません。
ブースで伝えていたのは、「ネイルします」ということでした。
私は、個人コンサルでこうお伝えしました。
ただ「ネイルします」と出て、毎月毎月、無料や安い値段で施術しても、増えるのは、安くネイルをしてもらう人です。
あなたがお客様になってほしいと思っている人が、増えるわけではありません。
マルシェには、子どもも、若い方も来ます。
施術をすれば、喜んでもいただけます。
それ自体は、悪いことではありません。
でも、あなたがこれからしたい仕事が、高齢の方やそのご家族に向けた介護美容だったら、どうでしょうか。
安くネイルを楽しみたい方を何人集めても、その方たちが、あなたの仕事のお客様になるとは限りません。
たくさん施術した。
売上も少しあった。
一日忙しく働いた。
それで、終わってしまうのです。

「出て満足」になっていませんか
受講生さんは、こう話していました。
なんか、出て満足って感じになっちゃって。
準備が大変なので。
その気持ちは、よく分かります。
でも、大変な準備をして出るのなら、その一日を、次の仕事につなげたいですよね。
そこで、マルシェに出る目的から変えます。
今日、何人に施術するかではなく、将来のお客様になってくださる方と、何人出会えるか。
ここに目標を置くのです。
そのために、3つの準備をお伝えしました。
準備1|ブースの言葉で、来てほしい人を選ぶ
まず、ブースに出す言葉を変えます。
「ネイルします」では、誰に来てほしいのかが分かりません。
たとえば、こんな言葉ならどうでしょうか。
高齢者の爪にやさしいネイル
介護相談ネイル(ネイルをしながら、介護のご相談をうかがいます)
こうすると、来てくださる方が変わってきます。
高齢の方ご本人だけでなく、親御さんのことを気にかけている方も、足を止めてくださるかもしれません。
関係のない人は、減っていい
対象を絞ると、ブースに来る人の数は減るかもしれません。
でも、それでいいのです。
私は、こうお伝えしました。
客数は減るかもしれないけれど、関係ない人はいなくなる。
そうすると、たくさんの人に施術するより、そのあとにつながりそうな人を5人、10人やる、というやり方になってくる、と。
施術する人数を増やすより、先につながる出会いを増やす。
これが、一つ目のポイントです。
主催者さんの告知と、ブースの言葉をそろえる
個人コンサルでは、こんなこともありました。
主催者さんがInstagramで出してくれた告知には、「高齢者の爪にやさしいネイル」と書いてありました。
ところが、当日のブースには、その言葉がありませんでした。
これでは、告知を見て来てくださった方が、会場で「ここだ」と分かりません。
いちばんいいのは、主催者さんの告知とブースが、同じ言葉、同じ色、同じデザインになっていることです。
そして、ブースには、その言葉を遠くからでも読める大きさで出します。
施術を受ける人と、サービスを頼む人は違うことがある
受講生さんは、高齢の方への割引を「65歳以上」にしていました。
私は、もう少し広げていいとお伝えしました。
50代の方なら、親御さんはもう80代くらいのことが多いですよね。
ご本人にネイルをしながら、親御さんの話になることもあります。
介護美容では、ご本人ではなく、ご家族がサービスを探したり、頼んだりすることも多いのです。
施設にチラシを置いていただく場合も、同じです。
施設で暮らしている方がチラシを見て、行きたいと思っても、マルシェに一人で行けるでしょうか。
受講生さんに聞くと、「ご家族が連れて行けば行ける」という答えでした。
それなら、チラシは、ご家族が外出に連れ出してくださる方に向けて作ることになります。
誰が読んで、誰が動くのか。
そこまで考えておくと、出会いの幅が広がります。
貼るものと、手渡すものは別にする
受講生さんは、マルシェのチラシを作るうちに、こう話していました。
今、何を売りたいのかが分からなくなって。
これは、1枚に全部を入れようとするからです。
私は、2つに分けて考えてくださいとお伝えしました。
一つは、ブースに貼って、遠くから目に入るもの。
「高齢者の爪にやさしいネイル」のような、短い言葉だけで十分です。
もう一つは、施術のあとに手渡すチラシです。
こちらには、ふだんどんなサービスをしているのか、どんな方のお役に立てるのか、どうすれば頼めるのかを書きます。
見せるものと、渡すものでは、役割が違います。
役割が違えば、デザインも変わります。
準備2|割引は、連絡先をいただくためにする
次は、料金の考え方です。
マルシェでは、ふだんより安い値段で施術することもあると思います。
それ自体は、悪いことではありません。
ただ、安くする目的を決めておく必要があります。
割引は、連絡先をいただくためにします。
あなたのサービスを、安売りするためではありません。
ここを決めておかないと、割引をしただけで終わってしまいます。
施術を受けて、そのまま帰られたら、次にいつお会いできるかも分かりません。
連絡できる方は、あなたの財産になる
仕事を始めたばかりの方から、よくこんなお話を聞きます。
「この地域には、知り合いがいないんです」
「お客様をどうやって見つけたらいいのか、分かりません」
だからこそ、マルシェでの出会いが大切なのです。
マルシェで連絡先がいただければ、その地域に知り合いがいるかいないかは、もう関係ありません。
連絡が取れる方がいる、ということは、知り合いがいるのと同じだからです。
マーケティングでは、こうした方の集まりを「見込み客リスト」と呼びます。
難しく考えなくて大丈夫です。
あなたの仕事に関心を持ってくださっていて、これからも連絡が取れる方の集まりと考えてください。
たとえば、毎月のマルシェで5人ずつ、こうした方とつながれたら、半年で30人です。
30人全員が、仕事を頼んでくださるわけではありません。
でも、その30人の中から、最初のお客様が生まれるかもしれません。
その日の売上が少なくても、先の仕事の種が、少しずつ増えていきます。
連絡先は受付で必ずもらう
連絡先はどうやっていただくのかを聞くと、受講生さんは「アンケートを最後にお願いしようかな」と答えました。
私は、こうお伝えしました。
「お願いしようかな」ではなく、お願いするんです。
むしろ、最初に書いていただく。
流れは、こんな形です。
「では、受付をお願いします」
「こちらに、お名前とご連絡先をお願いしますね」
「料金はこちらです。では、始めますね」
受付で書いていただくのは、自然な流れです。
施術が終わってから、あわててお願いする必要もありません。
用紙には、何のために使うのかを書いておきます。
次回のご案内などでご連絡することがあること。
ほかの人には渡さないこと。
いただいた連絡先は、大切に管理します。
連絡の方法は、LINEでもメールでも、あなたがやりやすい方法で構いません。
準備3|施術の時間を、困りごとを知る時間にする
介護美容には、大きな強みがあります。
施術をしながら、ゆっくりお話ができることです。
私は、受講生さんにこうお伝えしました。
ネイルの良さは、時間が稼げることですよ、と。
座って、向かい合って、お話ができる。
対象を絞って、つながりそうな方だけが来てくださるのなら、その時間を長めに取ってもいいのです。
ネイルの話から、自然に介護の話へ
受講生さんが、実際のマルシェで話した流れは、こうでした。
「高齢の方の爪は、薄いんですよね」
「普通の薬局で売っているネイルは、ちょっとにおいがしたりしますよね。これはやさしいので、高齢の方向けなんです」
「私、介護士なんです」
そこから施設の話になり、「うちの母が…」というお話が出てきたそうです。
いきなり、自分のサービスを売り込んだわけではありません。
ネイルの話から、自然に介護の話になったのです。
聞くだけで、終わらせない
ただ、そのあとのことを、受講生さんはこう振り返っていました。
本当に、聞いただけでした。
聞けたところまでは、それでいいのです。
介護の仕事をしてきた方は、話を聞くのが得意です。
でも、仕事にするなら、もう一歩が要ります。
私は、こうお伝えしました。
その次は、自分の仕事の方向へ、少しずつ話を持っていく。
持っていくというのは、質問をして、相手に考えてもらうということです。
たとえば、こんな問いかけです。
「年をとって、家にこもりがちになると、元気も笑顔も減ってしまいますよね」
「そうなんです。うちの母も、テレビばかりで」と返ってきたら、
「昔は、おしゃれをして出かけていらしたんですよね」
「ネイルだけでも、女性は気分がずいぶん変わるんですよ」
そうやって、相手が「たしかに、そうだな」と思えることを、一つずつ積み重ねていきます。
いきなり「介護美容で人生が明るくなります」と言われても、相手には分かりません。
相手が分かりそうなことから話す。
その先に、あなたの仕事の話があります。
もちろん、必要としていない方に、無理に勧めることはありません。
困りごとを分かったうえで、自分にできることがあればお伝えする。
そのための会話です。
会話は、一度ぜんぶ書いて練習する
「そんなに上手に話せません」
そう思った方もいるかもしれません。
それで当然です。
こうした会話は、その場でいきなり上手にはできません。
だから、練習します。
私は、会話を一度ぜんぶ書いてください、とお伝えしました。
どんな言葉から始めるのか。
どんな質問をするのか。
相手がこう答えたら、次に何を聞くのか。
その場で応用しようと思わないことです。
一度しっかり書けば、覚えます。
一つの流れが分かれば、あとは応用できます。
応用できなければ、何通りか書けばいいのです。
そして、あれもこれもやろうとしないこと。
次のマルシェまでは、マルシェの準備だけをすればいい、ともお伝えしました。
あれもこれもやろうとして、結局1か月何もできなかった、では意味がないからです。

介護の話ができたのは、一人。それでも前進です
受講生さんは、次のマルシェで、高齢の方への割引を出しました。
ネイルに来てくださった方のうち、介護の話ができたのは一人でした。
一人です。
でも、私は、それで十分だと思っています。
それまでは、ネイルをして、喜んでいただいて、それで終わっていました。
今回は、ネイルをきっかけに、介護の相談をうかがえたのです。
ここは、誤解してほしくないところです。
その一人から、すぐに仕事の依頼があったわけではありません。
マルシェに出たからといって、すぐにお客様ができるわけではないのです。
でも、困りごとを知って、自分が介護の仕事をしていることを伝えられた。
それは、将来のお客様と出会うための、大切な一歩です。
次は、連絡先をいただいて、ご案内を届けられるようにする。
その次は、関心を持ってくださった方に、くわしくお話しする。
一段ずつ、上がっていけばいいのです。
マルシェで出会った方を、どうやって最初のお客様につなげるかは、介護美容の最初のお客様はどこにいる?「高齢者」ではなく「一人」から始める見つけ方で、くわしくお伝えしています。
まとめ|マルシェを将来のお客様につなげる3つの準備
介護美容のマルシェ出店で大切なのは、人を集めて施術することだけではありません。
あなたのサービスを本当に必要としてくださる方と出会い、そのあとの仕事につなげていくことです。
1. ブースの言葉で、来てほしい人を選ぶ
「ネイルします」ではなく「高齢者の爪にやさしいネイル」のように、誰に来てほしいかが分かる言葉にする。主催者さんの告知と言葉をそろえ、貼るものと手渡すチラシは分ける。
2. 割引は、連絡先をいただくためにする
安売りのためではない。受付で、最初にお名前とご連絡先を書いていただく。
3. 施術の時間を、困りごとを知る時間にする
聞くだけで終わらせず、相手が分かりそうなことを質問で積み重ねる。会話は一度ぜんぶ書いて練習する。
最初から、全部を完璧にする必要はありません。
次のマルシェでは、ブースに出す言葉を変えるだけでもいいのです。
その次に、連絡先をいただく用紙を用意する。
そして、会話を書いて練習する。
一つずつ進めていけば大丈夫です。
今日、一つだけやってみてください
次のマルシェのブースに出す言葉を、一つ書いてみてください。
「ネイルします」「介護美容」ではなく、誰に来てほしいかが分かる言葉です。
書けたら、その方がブースに座ったときに、最初に何と話しかけるかも書いてみてください。
まだマルシェに出ていない方は、もし出るなら誰に来てほしいかを、一行で書いてみてください。
その一行が、ブースの言葉になります。
足りなかったのは、資格でも技術でもない
今回の受講生さんは、すでに何度もマルシェに出ていました。
人と話すこともできます。
ネイルの施術もできます。
仕事をつくるための材料は、もう持っていたのです。
個人コンサルで、ブースの言葉を大きく出す話をしていたとき、受講生さんは「机が小さくて、貼る場所がない」と言いました。
よく聞くと、机の前になら、紙を横に2枚は貼れることが分かりました。
私は、しつこく「できるでしょう」と言いました。
「できない」と考えてしまうと、全部がそこで崩れてしまうからです。
話すのが下手だからできない。
知り合いがいないからできない。
全部、そうなってしまいます。
できていることは、できていると認めていいのです。
足りなかったのは、資格でも技術でもありません。
今できていることを、どうすれば仕事につなげられるかという考え方でした。
資格を取ることと、その資格で仕事をつくることは、別の学びです。
技術を身につけることと、お客様に選ばれる仕事をつくることも、別のことです。
一人で考えていると、なかなか気づけません
一人でチラシやブースの言葉を作っていると、自分の言いたいことばかりになりがちです。
「今、何を売りたいのか分からなくなった」というのも、よくあることです。
私の講座では、受講生さんがマルシェで実際に言ったひと言や、作ったチラシを持ち寄って、グループコンサルや個人コンサルで一緒に直しています。
チラシの言葉、サービスの中身、料金、お客様との会話まで、受講生さんの実際の活動をもとに考えます。
今日ご紹介した話も、そうした場でのことです。
「マルシェには出ているけれど、そのあとにつながらない」
「介護美容の資格はあるけれど、どうやって仕事にしたらいいか分からない」
そんな方は、まず今の活動を、少し違う目で見直してみてください。
次にやることが、きっと見えてきます。
【無料プレゼント】『介護美容の資格を取ったあとに読む本』
この記事でお伝えした「誰に届けるか」「伝わる言葉の作り方」を、順番に整理できるようにまとめた本があります。
何を仕事にするか、値段の決め方、チラシの書き方、施設に営業してもつながらない理由まで、資格を取ったあとにぶつかる5つの壁を全30ページにまとめました。書き込み式のワークシートも付いています。
※この記事の受講生さんの事例は、個人コンサルで実際にお話しした内容をもとにしています。ご本人が特定されないよう、お名前や活動地域などは伏せています。AさんとBさんの売上・人数、「半年で30人」は、考え方を説明するための例で、受講生さんの実績ではありません。


コメント