「介護はできます。でも、営業はできません」
介護の仕事を自分で始めてみたい、という方の多くが、ここで止まります。
利用者さんのためなら、いくらでも動ける。
でも、自分のサービスを人にすすめるとなると、急に足がすくむ。
「私は口下手だから」
「人に物を売ったことがないから」
「押し売りみたいなことは、したくない」
そうして、やってみたい気持ちはあるのに、自分には無理だと決めてしまう方が、とても多いのです。
でも、正しいやり方を知れば、みんなが思っているほど難しくありません。
第1章:売れないのではなく、習っていないだけです
ひとつ、考えてみてください。
介護の資格を取るときに、売り方を教わったでしょうか。
初任者研修でも、実務者研修でも、介護福祉士の試験でも、出てきません。
施設では、利用者さんを集めるのも、料金を決めるのも、会社の仕事でした。
つまり、売り方を知らないのは当たり前です。
知らないことを、人は「自分にはできない」と思い込みます。
できないのではありません。習っていないだけです。
第2章:セミナーのあと、3人から届いたレポート
先日、受講生の方に向けたセミナーで、セールスの話をしました。

受講生向けセミナーの様子(Zoom)
※参加者のプライバシー保護のため、画像はAIで加工しています
そのあと、3人の方から、別々にレポートが届きました。
打ち合わせをされたわけではありません。
それなのに、3人とも、いちばん初めに同じことを書いておられました。
お一人は、こうです。
「自分を売り込む前に、相手の困りごとや悩み事を聞く」
別の方は、こう書かれました。
「話をする希望を聞く、未来を一緒に考える」
もうお一人は、こうです。
「ご自分でも気が付いておられない、本当に叶えたいことを聞き取りできたらと思います」
言葉は違いますが、中身は一つです。
先に話すのではなく、先に聞く。
3人とも、講座に入られてまだ日の浅い方です。
それでも、1回のセミナーで、営業の考え方が変わりました。
第3章:苦手なのは、営業ではありません
「営業が苦手」とおっしゃる方は、たいてい、売り込もうとしています。
何を言えば買ってもらえるか。どう説明すれば伝わるか。
頭の中が、自分の話でいっぱいになります。
苦しいのは当然です。相手を見ていないのですから。
苦手なのは営業ではなく、売り込みです。
ここが分かると、構えがひとつ外れます。
レポートをくださった方は、こう書いておられました。
「口下手でも自信持って話していいんだという気持ちになれました」
別の方は、会社で働いていたときとの違いに触れて、こう書かれました。
「会社員では、嫌な仕事も引き受けなければならない、良い印象を持てない相手には、商品を十分に提供でき無いことがあります。一人起業では、相手を選んで良いということを知り、気持ちが楽になりました」
お二人とも、技術を身につけたわけではありません。
売り込まなくていいと分かって、肩の力が抜けただけです。
そして、先に聞くほうはどうでしょうか。
利用者さんやご家族の話を聞くことを、毎日してこられたはずです。
表情を見て、言いにくそうなことを引き出して、本当に困っていることを探す。
これは、営業の話し方よりも、ずっと難しいことです。
その難しいほうを、もう何年もやってきておられます。
レポートの中には、こう書かれた方もいました。
「今の職場で、試してみます」
利用者さんとご家族の話を、今までより丁寧に聞いてみる。
練習の場所は、すでに手元にあります。
第4章:聞いたあとに、何を話すか
聞いたら、次は話す番です。
ここで多くの方が、サービスの中身を説明してしまいます。
週に1回、1時間、買い物に付き添います。
通院のときに、車いすを押してお連れします。
間違いではありません。でも、これは何をするかの話です。
相手が知りたいのは、その先にあることです。
| 何をするか | 相手は、どうなれるか |
|---|---|
| 買い物に付き添います | 好きなものを、自分で選べます |
| 通院に付き添います | 娘さんが、仕事を休まなくて済みます |
右側を話せたとき、相手の表情が変わります。
人がお金を払うのは、作業にではありません。その先にある安心や楽しみにです。
そして、これも売り込みではありません。
先に聞いたからこそ、その方の「どうなれるか」が分かるのです。
第5章:伝わったかどうかは、相手が教えてくれます
レポートの中に、私が話した以上のことを書いてくださった方がいました。
「お客様に良い提案ができてると価格を聞いてくるが、聞いてこない時は十分に伝わってない可能性があること」
これは、とても良い見方です。
売れたか売れなかったかで落ち込む必要が、なくなります。
値段を聞かれなかった日は、伝え方を見直す日だということです。
自分で自分の答え合わせができるようになります。
第6章:意外と、乗り越えられます
ここまでの話に、難しい技術はひとつもありません。
先に聞く。その先にあることを話す。値段を聞かれたかどうかで振り返る。
講座とグループコンサルに何度か出られた方が、ご自分の変化をこう書いておられました。
「すごいことをする、大変なことをする、というイメージでなく、近所のおじいちゃんおばあちゃんならどう接するか、のように温かい気持ちでやれば良いんだというのが、だんだん染みてきました」
営業ができるようになったのではありません。
営業とは何なのか、その考え方が変わっただけです。
もちろん、学べば何もしなくても売れる、という話ではありません。
実際に人に会い、話をうかがい、提案してみる必要はあります。
それでも、正しいやり方を知れば、みんなが思っているほど、乗り越えるのは難しくありません。
いちばん高い壁は、「自分には売れない」という思い込みのほうだからです。
なお、3人とも、レポートの最後には「一人でやると難しいこと」も書いておられました。
料金の決め方、書面の交わし方、事故が起きたときの対応、お客様の見つけ方。
こちらは考え方だけでは解けません。
この種類の不安については、一人で始められる。でも一人で全部判断しなくていいでお伝えしています。
お客様の見つけ方のひとつは、ケアマネさんに渡すチラシの書き方にまとめています。
第7章:まとめ
- 「介護はできるが営業はできない」と思い込んで、止まってしまう方がとても多くおられます
- できないのではなく、習っていないだけです。介護の資格では、売り方を教わりません
- セミナーのあと、3人の方が別々に同じことを書かれました。売り込む前に、相手の困りごとを聞く
- 苦手なのは営業ではなく、売り込みです。聞くことは、現場で毎日してこられたことです
- 話すときは、何をするかではなく、相手がどうなれるかを話します
- 値段を聞かれたら、伝わった合図。聞かれなければ、伝え方を見直します
- 3人は、これを1回のセミナーで受け取られました。正しいやり方を知れば、思っているほど難しくありません
自分で仕事をつくるというのは、売るのが上手な人になることではありません。
目の前の人の困りごとを、先に聞ける人になることです。
そして、それはもう、できておられます。
介護保険の枠の外で働くという考え方の全体像は、こちらにまとめています。
何から始めればいいのか、最初に決めることは何かを、7日間のメール講座で順を追ってお伝えしています。
「自分には売れない」と思っているうちは、一歩も動けません。
まずは、考え方のほうから変えてください。


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