介護の仕事そのものが嫌になったわけではない。しんどいのは、職場の人間関係だけ。
そう感じている40代・50代の方に向けて書いています。
介護の仕事が嫌になったわけではない
相談を受けていて、いちばん多いのがこの言い方です。
「利用者さんと過ごす時間は好きなんです。でも、職場がしんどくて」
介護そのものが嫌なら、話は簡単です。別の業種に移ればいい。
けれど実際に多いのは、仕事の中身には納得していて、周りとの関係だけが消耗の原因になっているケースです。
この場合、辞めても解決しません。むしろ、好きだった仕事まで手放すことになります。
40代50代が、職場の人間関係で消耗しやすい理由
年齢を重ねると人間関係が楽になる、というのは現場では成り立ちません。
むしろ逆のことが起きています。
経験があるほど、板挟みになる
現場を長く見てきた人は、何が正しいかが見えています。
だからこそ、上の判断に納得できないことが増える。
かといって新人に不満をぶつけるわけにもいかず、間で黙って抱えることになります。
経験が浅いうちは「言われた通りにやる」で済んでいたことが、経験を積むほど済まなくなる。
これは能力の問題ではなく、立場の問題です。
年下の上司と、年上の部下
40代50代になると、上司が年下ということが普通に起きます。
同時に、自分より年上の職員に指示を出す場面も出てくる。
どちらも気を遣う関係です。
気を遣うこと自体は悪いことではありません。
ただ、それが一日中、毎日続くと確実に消耗します。
体力の変化を、口に出しにくい
夜勤明けの回復に時間がかかるようになった。
移乗介助のあと腰が重い。
こうした変化は本人がいちばん自覚しています。
それでも言い出しにくいのは、若い職員に負担が回ることが分かっているからです。
周りを気遣える人ほど、自分の限界を後回しにします。
施設を変えても、人間関係はついてきます
ここがいちばんお伝えしたいところです。
職場の人間関係に疲れたとき、多くの人がまず転職を考えます。
実際、次の施設に移って改善することもあります。
ただ、しばらくすると同じような話になることが少なくありません。
理由ははっきりしています。
介護の職場は、構造として人間関係が発生する仕組みになっているからです。
24時間の体制をシフトで回す以上、引き継ぎが必要です。
人手が足りなければ、誰かの休みは誰かの負担になります。
ケアの方針に複数の人が関わる以上、意見は必ず割れます。
これは特定の施設が悪いのではなく、集団でケアを提供する仕組みそのものに含まれているものです。
だから、施設を変えても構造は変わりません。
変わるのは顔ぶれだけです。
辞めたい理由をもう少し広く整理したい方は、介護士を辞めたいと思う理由と、辞める前に知ってほしい選択肢もあわせて読んでみてください。
人間関係が「発生しない」働き方があります
転職ではなく、働き方の形を変えるという選択肢があります。
施設や事業所に属さず、利用者さんと直接契約して介護を提供する働き方です。
当サイトではフリー介護士と呼んでいます。
関わるのは、利用者さんとご家族だけ
職員同士の調整がありません。
申し送りも、方針をめぐる衝突も、休憩室の空気もありません。
関わる相手は、目の前の利用者さんとそのご家族だけになります。
人間関係が「良くなる」のではなく、そもそも発生しない。
これが施設勤務との決定的な違いです。
シフトの調整がない
自分が休む日を、誰かに埋めてもらう必要がありません。
逆に、誰かの穴を埋めるために予定を変える必要もありません。
予定は利用者さんとの間で直接決めます。
合わない相手とは、契約しなくていい
これは冷たい話に聞こえるかもしれません。
ですが施設では、相性が合わない人ともチームを組み続けるしかありません。
個人で仕事を受けるようになると、無理な依頼を断る判断が自分でできます。
断ることは、ケアの質を守ることでもあります。
40代50代であることは、この働き方では不利になりません
転職市場では、年齢が壁になることがあります。
書類の段階で不利になることも実際にあります。
けれど、利用者さんとご家族が求めているのは若さではありません。
任せて安心できるかどうかです。
認知症の方への対応をどれだけ見てきたか。
急な体調変化に落ち着いて動けるか。
家族の不安に、どんな言葉をかけられるか。
これらは経験のある人にしか持てないものです。
たとえば、旅行の付き添いをきっかけに、その後の見守りまで任されるようになった例があります(旅行が終わったあとに続いた見守りの仕事)。
指名されたのは、経験があったからです。
施設では評価されにくかった年数が、そのまま選ばれる理由になります。
いきなり辞める必要はありません
ここまで読んで、それでも収入が不安だと感じた方が多いと思います。
当然だと思います。
ただ、施設を辞めてから始める必要はありません。
勤めを続けたまま、休みの日に1件だけ受けるところから始めている人がほとんどです。
今の収入に上乗せしていく形なので、生活を崩さずに試せます。
具体的な組み立て方はフリー介護士で生活するには?収入を安定させる現実的な方法にまとめました。
やってみて合わなければ、勤めを続ければいいだけです。
失うものがありません。
まとめ
介護の仕事が好きなのに職場がしんどいなら、辞めるか我慢するかの二択ではありません。
- 人間関係の消耗は、施設を変えても構造として残る
- 利用者さんと直接契約する働き方なら、職員同士の関係そのものが発生しない
- 40代50代の経験は、この働き方では選ばれる理由になる
- 勤めを続けたまま、1件から試せる
介護そのものを手放す前に、働き方の形を変える選択肢があることを知っておいてください。
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