フリー介護士

利用者さんの保険証を預かるとき|フリー介護士の信頼される預かり方と返し方

預かったものを記録している女性 フリー介護士

施設から「入院に要るので、持って行ってください」と、保険証を渡されました。
病院に着くと、受付はコピーを取って、原本はそのまま返されました。

介護の自費サービスを個人でしていると、入院や通院の際に、保険証を扱う場面が必ずあります。

 

福岡市でフリー介護士として働く矢野さんが、2026年9月に実際に経験したことです。

施設に入居中の方が入院することになり、東京にいるご家族は来られない。

ケアマネジャーから依頼が来たのは、入院の2日前でした。

 

矢野さんは施設で保険証を受け取り、手配していた介護タクシーに一緒に乗って病院へ行き、看護師さんに引き継ぎ。

ご家族と決めなければいけないことは、東京の息子さんに逐一電話をして、テキパキと進めました。

そして帰り道、病院から返された保険証を持ったまま、一人で施設まで戻ることになりました。

 

本来なら、保険証も、介護保険証も、マイナンバーカードも、大切な物だから預かりたくありません。

でも、誰かが持って行かなければ、入院の手続きは進みません。
だから、フリー介護士が病院に同行する際には預かることが多いです。

しかし、何も決めずに預かると、万が一紛失した際には、責任は全てあなたです。

 

この記事では、保険証の扱いについて、国はどのように考えているのかを確認した上で、預かるときに自分を守るやり方と、依頼を受けたときにすることを、順番にお伝えします。

あやふやなまま原本を持ち歩くのがいちばん危険です。

しかし、このような介護以外のことまできっちりと責任を果たすことで、次の仕事にもつながります。

大切なことですので、ぜひ最後までご覧ください。

第1章:なぜ、誰も保険証を預かりたくないのか

理由は、はっきりしています。

なくしたら、大変なことになるからです。

再発行の手続きが要ります。再発行までのあいだ、その方は病院にも介護のサービスにも行きにくくなります。

介護保険証には、要介護度や、認定審査会の意見まで書いてあります。

マイナンバーカードなら、暗証番号まで一緒に扱うことになります。

 

だから施設も、ケアマネジャーも、病院も、できれば手元に置きたくありません。

矢野さんが病院で原本を返されたのも、病院が「預かれません」と言ったのも、同じ理由です。

 

では、ご本人が持っていればよいのでしょうか。

ご本人が持っていると、なくします。

認知症の方なら、どこにしまったか分からなくなります。

 

では、ご家族が持っていればよいのでしょうか。

ご家族は、ちょうどよいときに来られません。

矢野さんの依頼は2日前でした。息子さんは東京にいました。

 

誰も預かりたくない。でも、誰かが預からなければならない。

入院のとき、通院のとき、施設に入るとき、施設を出るとき。

この場面は、そのたびに必ず来ます。

 

そして個人で仕事を受けていると、その「誰か」が、あなたになります。

施設に勤めていたころは、事務所が預かって、事務所が返していました。

個人で受けると、預かるのも、持ち歩くのも、返すのも、あなた一人です。

 

第2章:法律は「預かれ」とも「預かるな」とも言っていません

訪問介護の事業所には、国が決めた運営の基準があります。

保険証について、基準はこう書いています。

指定訪問介護事業者は、指定訪問介護の提供を求められた場合は、その者の提示する被保険者証によって、被保険者資格、要介護認定の有無及び要介護認定の有効期間を確かめるものとする。

指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 第11条・厚生労働省)

 

「提示する」被保険者証で確かめる、と書いてあります。
「預かる」とは、どこにも書いてありません。

つまり法律は、預かれとも、預かるなとも言っていません。

預かり方を決めているのは、法律ではなく、それぞれの現場です。

 

だから事業所によって違います。

契約のときにコピーを取ってすぐ返す事業所もあれば、預かり証を出して原本を預かる事業所もあります。

施設によっては、入所するときに全部まとめて預かります。

 

どの事業所も、自分たちを守るために、記録とコピーの仕組みを作っています。

個人でフリー介護士として仕事を受けるなら、その仕組みを、自分で持つしかありません。

 

利用者さんのお金を預かるときと、まったく同じ構造です。

そのような方のために、訪問介護で利用者のお金を預かるとき。個人で仕事を受けるなら先に決めておくことという記事を書きました。

お金の預かり方を決めた方は、保険証の預かり方も、同じ手順で決められます。

 

第3章:どの証が、どこで要るのか

「保険証」と一言で呼んでいますが、中身は2種類あります。

病院で要るものと、介護のサービスで要るものは、別の証です。

病院で要るのは、マイナ保険証か「資格確認書」です

従来の健康保険証は、2025年12月1日で有効期限が終わりました。

期限切れに気づかず持ってきた人も受け付ける、という猶予も、2026年7月31日で終わっています
厚生労働省「医療機関・薬局では、マイナ保険証か資格確認書をご提示ください」)。

 

いま病院の受付で要るのは、次のどちらかです。

マイナ保険証(健康保険証として登録したマイナンバーカード)

資格確認書(マイナ保険証を使わない方に、申請しなくても無償で届く紙の証。厚生労働省「資格確認書について」

 

高齢の方には、資格確認書のほうが多いと思っておいてください。

マイナンバーカードを持っていても、健康保険証としての登録をしていなければ、資格確認書が届いています。

マイナンバーカードを渡す

介護のサービスで要るのは、介護保険証と負担割合証です

介護保険被保険者証と、介護保険負担割合証。

この2枚は、介護のサービスを使うときに事業所へ見せるものです。

病院の受診には要りません。

ただし、入院のときは、病院が介護保険証のコピーを求めることがあります。退院後の手続きに使うためです。

矢野さんが渡されたのは、両方でした

施設は「入院に要るもの」として、健康保険の証と、介護保険の証を一式まとめて渡しました。

受付は全部コピーを取り、原本は全部返してきました。

 

あとで矢野さんが受付に聞きました。

「原本を持ってこなくても、コピーでも対応してもらえますか」

答えは「うちはコピーでもいいですよ」でした。

 

コピーで足りる病院は多い。ただし、病院によって違う。

だから、行く前に病院へ電話して聞く。これが、いちばん確実です。

 

第4章:預かるときの、自分の守り方

預かると決めたときのやり方を、5つにまとめます。

利用者さんのお金を預かるときと、型は同じです。

1|受け取った瞬間に、書く

何を、何枚、いつ、誰から受け取ったか。

受け取ったその場で記録します。

矢野さんは、施設で3枚を受け取ったときに「これとこれとこれをお預かりした」と、自分のメモに書いています。

「なくしたら大変なことになると分かっていたから」です。

このメモがあるから、返すときに「3枚、確かにお返しします」と言えます。
そして、万が一の際にも説明ができます。

 

2|原本を持ち歩く時間を、いちばん短くする

預かる時間が長いほど、なくす機会が増えますので注意が必要です。

もし、病院がコピーでよいと言うなら、施設や家族にコピーを用意してもらい、原本は最初から動かさないのが安全です。

病院によって対応が異なりますので、事前に病院に確認すると良いでしょう。

 

3|返すときも、書く

預かったときと同じです。

何を、何枚、いつ、誰に返したかを、記録してください。

相手にサインしてもらったり、せめて「受け取りました」と一言もらうようにしてください。

ご家族には、LINEで「保険証3枚、お返ししました」と送っておくだけでも、記録になります。

 

4|マイナンバーカードは、暗証番号と一緒に受け取らない

マイナ保険証の場合、カードと一緒に「暗証番号はこれです」と紙を渡されることがあります。

暗証番号は、受け取らないでください。

病院の受付では、顔認証で受け付けられます。暗証番号がなくても受診できます。

カードと暗証番号を両方持っている状態は、いちばん危ない状態です。

なくしたときの責任が、まったく違ってきます。

 

5|写真やコピーを手元に残すなら、番号を隠す

預かった証をスマホで撮っておく方は多いと思います。

記録として撮るのは、よいことですが注意が必要です。

健康保険の証には「記号・番号」が書いてあり、厚生労働省は、本人確認のために保険証の写しを取る事業者に対して、記号・番号を書き写さない、写しを取るときは記号・番号を隠すよう求めています
医療保険の被保険者等記号・番号等の告知要求制限について・厚生労働省)。

 

介護の仕事で預かる場面は、本人確認とは目的が違います。

それでも、手元に残す写真やコピーは、同じように番号を隠しておくのが安全です。

手元に残るものは、全部あなたの管理になるからです。

 

第5章:依頼を受けたとき、最初に聞くこと

入院や通院の付き添いを頼まれたら、出発する前に、3つ聞いてください。

– 保険証は、誰が持っているか?
– 病院は、コピーで大丈夫か?
– 誰に渡すか、返却するか?

矢野さんの場合、保険証を持っていたのは施設でした。

先に「病院はコピーで大丈夫ですか」と聞いていれば、施設にコピーをもらって出発でき、返しに戻る手間はなくなっていました。

 

もうひとつ、同じ日に矢野さんが先に決めていたことがあります。

介護タクシー代や、病院で買うお水のお金です。

矢野さんは、出発前に息子さんと打ち合わせをして、「私が立て替えます」と決めていました。

そのような場面のために、訪問介護の買い物代行、お金は立て替えていい?個人で仕事を受けるときの決め方という記事を書きました。

 

そして病院で、看護師さんに「何者ですか」と聞かれています。

「保険外で、お手伝いさせていただいています」と答えたら、「そんなのがあるんですね」と言われたそうです。

福岡市でも、フリーで動いている介護職は、まだ知られていません。

ご存じない方は、フリー介護士とは をご覧ください。

 

まとめ:保険証の預かり方と返し方

大事な話ですので最後に整理します。

– 保険証も介護保険証もマイナンバーカードも、誰も預かりたくない。
でも、誰かが持たなければ入院できない。

– 法律は「提示する被保険者証で確かめる」としか書いていない。
預かり方を決めるのは現場。

– 病院で要るのはマイナ保険証か資格確認書。
介護のサービスで要るのは介護保険証と負担割合証。

– 受け取ったら書く。原本を動かす時間は短く。返すときも書く。暗証番号は受け取らない。写しは番号を隠す。

– 出発前に「誰が持っていますか」「コピーで大丈夫ですか」「誰に返しますか」を聞く。

 

矢野さんは入院の付き添いを終えて、息子さんに報告をしました。

「帰りもお願いしたい」と言われています。

ケアマネジャーからも「また何かあったらお願いします」と言われています。

 

介護の仕事を依頼通りにこなすことは、多くの人ができます。

しかし、今回のような介護以外の「明確なルールがないこと」を、状況を見ながら、ご本人や家族のためにしっかりとしてあげる。

誰も預かりたくないものを、きちんと預かって、きちんと返した。

信頼できる仕事をする。だから、次の依頼が来ます。

このように信頼を積み重ねることで、フリー介護士は、次の仕事に繋がっていきます。

 

介護の仕事を個人で受けるという働き方そのものを、まだよく知らない方も多いと思います。

もし興味があれば、介護士が起業して成功する方法!実際にフリーランスで稼げた方法を公開をご覧ください。

 

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※ この記事の実例は、2026年9月4日のグループコンサルで矢野さんご本人が話された内容を、ご本人の了解を得たうえで掲載しています。制度の記述は2026年9月時点の厚生労働省の公表内容によります。

福岡市のフリー介護士 想

 

矢野さんは、福岡県福岡市東区近郊(西戸崎/志賀島/勝馬中心)でフリー介護士として活動されています。
お気軽にご相談ください。『おうち介護 想』矢野めぐみ

 

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