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介護保険外サービスの送迎、知らずにやると懲役3年?合法・違法の境界線

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「利用者さんの買い物に付き添って、そのまま車で送っていく」
「お墓参りに一緒に行きたいと言われたので、自分の車で連れて行った」

フリーランスで介護保険外サービスを提供していると、こうした場面は日常的に出てきます。 そしてその都度、こんな迷いも出てくるのではないでしょうか。

「これって、車を出しただけでもお金をもらったら違法になるの?」
「介護タクシーを開業しないと、送迎は一切できないの?」

実はこの答え、2024年3月に国土交通省が出した通達で、はっきりしました。

この記事では、まず知っておくべき「やってはいけないこと」の境界線を整理し、そのうえで「では、どうすれば合法的にお金をいただけるのか」をお伝えします。

白ナンバーでの送迎、実は道路運送法違反になることがある

車を持っている介護士なら誰でも一度は考える「送迎サービス」。

しかし、自家用車(白ナンバー)を使って対価を受け取る送迎は、原則として道路運送法で禁止されています。

ポイントになるのが「二種免許があれば大丈夫」という誤解です。

二種免許はあくまで緑ナンバー・黒ナンバーの事業用車両を運転するための資格であり、車両自体が自家用車である限り、有償での送迎は違法のままです。

介護資格を持っているかどうかも、この法律の判断には関係ありません。

無許可でこれを行うと、道路運送法違反として1年以下の懲役または150万円以下の罰金、悪質なケースではさらに重い罰則が科される可能性があります。

「謝礼」という名目にしていても、金額が固定化していたり、継続的・反復的に受け取っていたりすると、実質的には「運賃」とみなされ、違法と判断されるケースが少なくありません。

 

では、何が「合法」で、何が「違法」なのか

国土交通省のガイドラインでは、金銭のやり取りの形によって、大きく合法・違法が分かれます。

  • 完全に無償(ボランティア)で行う
  • ガソリン代や高速代など、実費の範囲だけを受け取る
  • 利用者が自発的に、金額を決めずに渡してくれる「謝礼」を受け取る

このあたりまでは合法とされていますが、実際の現場では「もう少し柔軟に、事業として送迎の対価をいただきたい」というニーズも多いはずです。

そしてここからが重要です。
2024年3月の通達により、介護タクシーの許可を取らなくても、合法的に送迎を提供できる形がはっきりしました。

初期投資250万円、二種免許取得、50枚以上の書類申請といった、これまで「送迎サービス=介護タクシー開業」と思い込んでいたハードルを越えずに済む可能性があるということです。

 

では、その実費は具体的にいくらにすればいいのか?

1kmあたり何円にするか、料金表にどう書くか、という話が残ります。

実は、国土交通省の通達には、その計算式まで示されています。
ヘルパーの交通費・ガソリン代は請求していい|個人で仕事を受けるときの決め方と書き方で、通達の原文を引用しながら整理しました。

請求書と領収書の書き分け、自動車保険の使用目的の確かめ方までまとめています。

 

利用者さんの車を運転する場合は、まったく別の話です

ここまでは、あなたが自分の車を出す場合の話でした。

では、利用者さんご本人の車を、あなたが運転する場合はどうなるのでしょうか。

こちらは、許可も登録も要りません。

 

実際にあった話です

受講生の森田さん(仮名)が、1週間の付き添いの依頼を受けました。

軽井沢の別荘へ、行きも帰りも、滞在中もずっと同行する仕事です。

相見積もりを3社で取って、いちばん安かったのが森田さんでした。

そして、移動に使うのはご本人の車でした。

いい車をお持ちの方は、他の人の車に乗りたがりません。

そのとき、森田さんもケアマネさんも、同じことを思ったそうです。

その車を運転するのって、ちょっとグレーじゃないですか

 

グレーではありません。通達に書いてあります

国土交通省が令和6年3月1日に出した通達(国自旅第359号。令和8年6月5日一部改正)に、こうあります。

他人の車両の運転を委託されて運転役務を提供した場合に、運転役務の委託者から運転役務の提供者に対して当該役務の提供について報酬が支払われたとしても、有償の運送行為にはあたらない。

そして、許可も登録も要らない場合の具体例として、こう挙げられています。

運転役務の提供者が利用者の所有する車両を使用して送迎を行う場合

名指しで書かれています。

 

なぜ、扱いが変わるのでしょうか

白タクが問題になるのは、あなたが車を出して、人を運ぶからです。

利用者さんの車であれば、運ばれているのは、その車の持ち主ご本人です。

あなたが提供しているのは、運送ではなく「運転」という役務です。

だから、道路運送法の許可も登録も要りません。

 

ただし、通達には但し書きがあります

同じ通達が、こう続けています。

運送の態様又は対象となる旅客の範囲によっては、自動車運転代行業、人材派遣業等とみなされる場合があり、それぞれの関係法令が適用されるため留意が必要

不特定多数を相手に、運転だけを切り出して売り始めると、別の法律の話になります。

介護のお付き添いの一部として運転する形であれば、ここには当たりません。

 

実務で決めておくことが3つあります

① 持ち主の自動車保険を必ず確認する

ここがいちばん大事です。

運転者が「家族限定」になっていると、あなたが運転している間は補償されません。

森田さんの依頼主は、前の年に別のサービスへ依頼した経緯があり、第三者が運転しても大丈夫な契約に変えてありました。

確認が取れるまで、運転しないでください。

 

② 見積書に「運転」の項目を作らない

森田さんは、見積もりの段階で運転を別項目にせず、介護の役務の中に含めていました。

これは交通費・ガソリン代で「送迎料」の行を作らないのと、まったく同じ考え方です。

運転は、お付き添いの中のひとつの動作です。
そこだけ値段を付けると、別のサービスに見えてしまいます。

 

③ 一筆もらっておく

難しい書面は要りません。

運転はサービスの一環として行うものであり、車両について責任を負わないことをご了承いただきます

このくらいで十分です。

ただし、この一筆で事故の賠償責任がなくなるわけではありません。

備えの本体は、あくまで保険です。個人で加入できる保険については賠償責任保険の記事にまとめています。

 

ちなみに、大手が降りていった領域です

森田さんの依頼主は、前の年に大手のサービスへ同じ依頼をしていました。

そのとき、こう断られたそうです。

法律が厳しくなったので、ドライバーはつけられません

その依頼が、個人に流れてきました。

「できない」と言われた仕事が、そのまま残っています。

 

整理します。個人が取れる道は3つです

ここまでを、いちど並べ直します。

介護タクシーの許可を取らずに、合法的にお金をいただく方法は3つあります。

 

道1|実費の範囲にとどめる

ガソリン代、高速代、駐車場代。

これらは通達に名前が挙げられています。受け取って構いません。

そして見落とされやすいのが、実費に「前後の回送を含む」と明記されていることです。

迎えに行く分も、帰る分も、実費に入ります。

1kmあたりいくらにするかという計算式まで通達に示されているので、ヘルパーの交通費・ガソリン代は請求していいで確認してください。

 

道2|利用者さんの車を運転する

ひとつ前の章で書いたとおりです。

許可も登録も要りません。通達に名指しで書かれています。

 

道3|移動そのものに、値段を付けない

これが本体です。

通達が繰り返し使っているのは、「当該運送に特定した反対給付」という言い方です。

だめなのは、移動そのものに値段を付けること。

逆にいえば——

付き添いのサービスとして報酬をいただき、その中で移動もする。この形なら問題になりません。

実際、通達は「通院や買物等に同行する支援」を、許可の要らない例として名指ししています。

そして「サービス自体が有料であっても構わない」と、はっきり書かれています。

 

だから、料金表に「送迎料」の行は作りません

やることは、これだけです。

  • 付き添い・同行のサービスとして料金を決める
  • 「送迎料」「運送料」という項目は作らない
  • 実費(ガソリン代・高速代・駐車場代)は、別に実費として受け取る

これで、介護タクシーの許可なしに、合法的に対価をいただけます。

 

「登録すればいい」という道は、個人にはありません

最後に、ひとつだけ注意しておきます。

「自家用有償旅客運送の登録を取ればいいのでは」と考える方がいます。

これは、個人には使えません。

道路運送法第78条には、こう書かれています。

自家用自動車は、…市町村(特別区を含む。)、特定非営利活動促進法第2条第2項に規定する特定非営利活動法人その他国土交通省令で定める者が…自家用有償旅客運送を行うとき…を除き、有償で運送の用に供してはならない

並んでいるのは、市町村と法人です。個人の名前はありません。

個人事業主が単独で登録する制度にはなっていません。

だからこそ、上の3つの道を使います。

 

さらに細かいところは、noteにまとめています

ここまでで、合法的に対価をいただく形はお分かりいただけたと思います。

そのうえで、実際に始めるとなると、もう少し細かい確認が出てきます。

  • ケアマネさんや事業所にどう説明するか
  • 契約書にどう書いておくか
  • グレーに見える場面の判断のしかた

そのような方のために、介護保険外サービスでの送迎には介護タクシー開業が必要? というnote記事を書きました。

法的根拠や国土交通省・厚生労働省の資料の引用元を明示しながら、条文とガイドラインに基づいてまとめています。

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免責事項: 本記事は法令・ガイドラインの一般的な解説を目的としたものであり、個別の事案への法的アドバイスではありません。
実際に送迎サービスを開始する際は、必ず最新の法令を確認するか、行政書士・弁護士等の専門家にご相談ください。

 

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