「このまま今の働き方を続けていけるだろうか」
50代・60代になると、介護の仕事が好きでも、こんなことを考える方が増えてきます。
若い頃は気にならなかった夜勤。
1日に何件も回る訪問。
時間に追われながらの介護。
人手不足で、なかなか休めない職場。
利用者さんの話をもっとゆっくり聞きたいと思っても、次の仕事が待っている。
本当はもう少しやってあげたいことがあっても、制度や会社のルールがあってできない。
そんな毎日を続けながら、
- 介護の仕事は嫌いではない
- できれば、これからも介護には関わっていたい
- でも、今と同じ働き方をあと10年続けるのは難しいかもしれない
と思っている方もいるのではないでしょうか。
そんな方に知ってほしい働き方の一つが、フリー介護士です。
ただし、「会社を辞めて、いきなり独立しましょう」という話ではありません。
50代・60代から初めてフリーという働き方を考えるなら、最初に大切なのは、
今までの経験を整理しながら、自分はこれからどんな働き方をしたいのかを考えること
です。
この記事では、介護の経験を「自分の仕事」に変えるために、最初に考えてほしいことを順番にお伝えします。
最後に、今日から始められる5つのことも紹介します。
フリー介護士になるために、介護を一から学び直す必要はありません
長く介護の仕事をしてきた人ほど、「独立なんて自分には無理」と思うことがあります。
なぜなら、今までは会社や施設が、次のようなことをしてくれていたからです。
- お客様を見つける
- 契約する
- お金を受け取る
- スケジュールを管理する
- トラブルに対応する
- サービス内容を決める
介護の仕事はできる。
でも、「自分で仕事を作る」となった瞬間に、急に分からなくなります。
これは当然のことです。
介護職としての経験があっても、個人で仕事をした経験はないからです。
ただし、ここで勘違いしないでください。
フリー介護士としては初心者でも、介護の初心者ではありません。
20年介護をしてきた人には、20年分の経験があります。
10年訪問介護をしてきた人には、10年分の経験があります。
介護福祉士、ケアマネジャー、看護師、作業療法士、理学療法士などの資格を持っている人には、その専門知識もあります。
これから学ぶのは、「介護のやり方」ではありません。
「今まで持っている経験を、自分の仕事に変える方法」です。
ここを最初に理解しておくと、少し気持ちが楽になります。
50代・60代の介護職が、すでに持っている強み
若い人と比べて、「もう歳だから」と考えてしまう方がいます。
しかし、フリー介護士では、年齢が必ずしも不利になるとは限りません。
むしろ、長く現場で働いてきた人には、若い頃にはなかったものがあります。
たとえば、次のようなものです。
- 高齢者との接し方
- ご家族との話し方
- 認知症の方への対応
- 急な変化への判断
- ケアマネジャーとのやり取り
- 看護師・医師など医療職との連携
- 介護保険制度についての知識
- 家族介護の大変さへの理解
- 高齢者一人ひとりの生活の違いを見る力
こうしたものは、資格試験だけでは身につきません。
長い経験の中で身につけてきたものです。
ところが本人は、それを「介護職なら普通にできること」と思っていることがあります。
ここに大きな落とし穴があります。
自分にとって普通のことが、お客様にとっては大きな価値になることがあるのです。
介護の経験を「自分の仕事」に変える4つの考え方
では、その経験をどうやって仕事にしていくのか。
最初に押さえておきたい考え方を4つお伝えします。
① 自分に何ができるのかを、細かく書き出す
フリー介護士を始めるとき、「何を商品にすればいいのでしょうか」と考える人が多くいます。
しかし、最初から商品名を決める必要はありません。
まずは、今まで自分がやってきたことを書き出すところから始めてみてください。
たとえば、こんなことです。
- 通院に付き添う
- 買い物に付き添う
- 散歩に付き添う
- 自宅で見守りをする
- 話し相手になる
- 身体介護をする
- 入浴を手伝う
- 外出を手伝う
- 家族の相談に乗る
- 介護の方法を家族に伝える
- 部屋の環境を一緒に整える
- 福祉用具について相談に乗る
- 高齢者に合った運動を考える
- 寝たきりの方の身体の位置を整える
- ご家族と専門職の間をつなぐ
- 遠方にいる家族へ様子を伝える
人によっては、介護以外の経験を持っていることもあります。
- 美容・ネイル・アロマ
- 旅行・写真
- 園芸・音楽・料理
- パソコン・スマートフォン
- 整理収納
フリーになると、介護の経験と、自分がこれまで身につけてきたものを組み合わせることもできます。
② 「できること」だけでなく、「何をしていると嬉しいか」を考える
ここはとても重要です。
長く介護の仕事をしていると、「できること」はたくさんあります。
でも、できることと、これからやりたいことは同じではありません。
50代・60代から働き方を変えるのであれば、今まで以上に、
「自分は何をしている時が嬉しいのか」
を考えてほしいと思います。
たとえば、こんなことです。
- 高齢者の話をゆっくり聞いている時が好き
- 一緒に外出して、喜んでもらえるのが好き
- 「身体が楽になった」と言われるのが嬉しい
- 家族の不安が減った時に嬉しい
- 一人暮らしの人の生活を支えるのが好き
- 認知症の方とゆっくり関わるのが好き
- 最期まで自宅で暮らしたい人を支えたい
- 施設ではできないことをしてあげたい
答えは人によって違います。
この「自分がやっていて嬉しいこと」が、あとで自分の商品を考えるときの大きなヒントになります。
③ 会社と同じ働き方を、一人で再現しようとしない
もう一つ大切なのは、今までの職場と同じ働き方を、そのまま個人で再現しようとしないことです。
たとえば訪問介護や訪問リハビリでは、「このサービスは何分」「次の訪問まで何分」と決められています。
施設でも、「何時までに食事」「何時までに入浴」「次はこの業務」という流れがあります。
もちろん、組織で多くの利用者さんを支えるためには必要な仕組みです。
でも、フリーは同じではありません。
「決められた40分で、どう終わらせるか」ではなく、
「この人には、どのくらいの時間が必要なのか」
というところから考えることができます。
1時間ゆっくり話を聞いた方がよい人もいるでしょう。
2時間一緒に外出した方がよい人もいるでしょう。
病院への付き添いから、自宅に帰るまで一緒にいた方が安心な人もいます。
仕事に人を合わせるのではなく、その人に合わせて仕事を作れる。
ここが、フリーの大きな特徴です。
④ 商品を考えるより、困っている人を見つける
独立しようとすると、「私の商品は何にしよう」と考えがちです。
でも実際には、仕事はもっと身近なところから生まれます。
- ケアマネジャーが「この曜日に入浴介助をしてくれる人がいない」と困っている
- ご家族が「病院に付き添いたいけれど、仕事を休めない」と困っている
- 一人暮らしの高齢者が「買い物には行けるけれど、一人では不安」と言っている
- 遠方に住んでいる娘さんが「母の様子が分からなくて心配」と言っている
- 介護職員が「腰が痛いけれど、どう身体を動かしたらいいか分からない」と悩んでいる
こうした「困った」の中に、仕事の種があります。
だから最初から立派な商品を考えるよりも、「周りの人は何に困っているんだろう」と見る癖をつける方が大切です。
最初のお客様は、SNSより身近なつながりから
フリーになると聞くと、
- Instagramを毎日投稿しなければいけない
- XやFacebookでフォロワーを増やさないといけない
と思う方がいます。
しかし、50代・60代で長く介護の仕事をしてきた方は、まず自分の周りを見てください。
すでに、次のような人とのつながりがあるかもしれません。
- ケアマネジャー
- 看護師
- 介護職
- デイサービスの職員
- 医療関係者
- 元同僚
- 知人
- 地域の人
こうした人たちとの信頼関係は、大きな財産です。
もちろん、今の勤務先のお客様を、勝手に自分の仕事にすることはできません。
勤務先との契約やルールも確認する必要があります。
勤めながら始めるときの考え方は、就業規則に「副業禁止」と書いてあっても、介護の仕事は個人で受けられますにまとめています。
そのうえで、信頼できる人に、
「今、こんな働き方を考えています」
「介護保険では対応できないことで、困っている人はいませんか」
と相談することはできます。
知らない1,000人に発信するところから始める必要はありません。
知っている人から、少しずつ仕事につながっていくこともあります。
営業が苦手でも大丈夫。大切なのは「困りごとを聞く」こと
営業が苦手だから、独立できない。
そう考える介護職の方もいます。
しかし、介護の仕事を長くしてきた人は、営業に必要なことを、実はすでにやっています。
それは、相手の話を聞くことです。
お客様に会って、「私にはこれができます」と一方的に説明するより、
- 今、何に困っていますか
- 本当はどうしたいですか
- ご家族は何を心配していますか
- 今の介護サービスでは、何が足りませんか
- どんな生活を続けたいですか
と聞く。
その上で、「それなら私がお手伝いできるかもしれません」という話になればよいのです。
これは押し売りではありません。
困りごとを聞き、それを自分が解決できるかを考える。
介護の基本と、それほど違わないのです。
50代・60代だからこそ、「理想の働き方」を先に決める
若い頃なら、「まず働いてみて、その後考える」でもよいかもしれません。
でも50代・60代から働き方を変えるのであれば、私は最初に、これからどう働きたいのかを考えることをおすすめしています。
たとえば、こんなことです。
- 週3日くらい働きたい
- 1日2件くらいにしたい
- 夜勤はしたくない
- 一人のお客様にゆっくり関わりたい
- 月10万円程度の副収入から始めたい
- 今の仕事を続けながら始めたい
- 60代になったらフリーを中心にしたい
- 車で30分以内の地域だけで働きたい
- 身体介護を減らして、相談の仕事を増やしたい
- 旅行同行の仕事をしてみたい
ここでは、「そんなの無理」とすぐに否定しないでください。
まず、理想は何なのかを書いてみます。
その後で、「では、その働き方に近づくにはどうしたらいいか」を考えます。
理想が先、方法は後。この順番が大切です。
私の講座を受講した方の中にも、「1日に入れる仕事は1件だけ」と決めて働いている65歳の方がいます。
その方の働き方は、「1日1件」と決めて楽しみながら働く、65歳のフリー介護士で紹介しています。
他の人の働き方を見て、「そんなこともできるんだ」と知る
フリー介護士を考え始めたばかりの人は、自分が今まで見てきた介護の仕事しか知りません。
そのため、「介護士の仕事とはこういうもの」という思い込みを持っています。
しかし、実際にはさまざまな働き方があります。
- 通院同行
- 外出支援
- 旅行同行
- お墓参りへの同行
- 長時間の見守り
- ご家族が休むための介護
- 趣味活動への同行
- 高齢者との買い物
- 介護をしているご家族からの相談
- 自費での運動・体操の支援
- 介護職向けの体操指導
他の人の事例を見る目的は、その人の真似をすることではありません。
「介護には、こんな仕事の作り方もあるのか」と、可能性を広げることです。
選択肢を知ってから、自分に合うものを選べばいいのです。

フリーは、受ける仕事を自分で選べる
もう一つ、会社員とは大きく違う点があります。
それは、すべての仕事を受けなくてもよいということです。
会社に勤めていると、担当を任されたら、基本的には対応しなければなりません。
でもフリーの場合は、事前に話をして、次のことを確認できます。
- 自分にできる仕事か
- 安全にできるか
- 無理な要求ではないか
- 自分の考えと合うか
- 信頼関係を作れそうか
そして、「これは自分には難しい」と思えば、断るという判断もできます。
フリーというと、「何でも一人で責任を取らなければならない」という怖さばかり考える方がいます。
もちろん、安全面や契約、保険など、準備すべきことはあります。
しかし同時に、仕事を選べる自由もあります。
これは、長く働き続けるうえで、とても大切なことです。
最初の1〜2か月で、すべてを決めなくていい
フリー介護士に興味を持ったばかりの段階では、分からないことがたくさんあります。
だから、「まず商品を決めなければ」「すぐお客様を探さなければ」と焦る必要はありません。
最初は、新しい働き方を知る期間だと考えてください。
人の事例を聞く。
自分の経験を書き出す。
困っている人を観察する。
どんな仕事なら自分が楽しく続けられそうかを考える。
そして、少しずつ試していく。
それで十分です。
フリー介護士を考え始めたら、まずやってほしい5つのこと
もし今、「フリー介護士に興味はあるけれど、何から始めればいいか分からない」という状態なら、まず次の5つをやってみてください。
1. 今までやってきた仕事を書き出す
「資格」だけではなく、実際に利用者さんやご家族に何をしてきたかを書きます。
2. 自分が得意なことを書き出す
人からよく相談されること。
他の人より苦にならないこと。
自然にできること。
ここに強みがあります。
3. 仕事をしていて嬉しかった場面を思い出す
「ありがとうと言われた」だけでなく、自分自身が「この仕事をしていてよかった」と思った場面を書きます。
4. 周りの人の「困った」を集める
利用者さん、ご家族、ケアマネジャー、介護職、看護師、地域の人。
それぞれが何に困っているのかを観察します。
5. 理想の働き方を書く
今できるかどうかは考えません。
まず、「本当はどう働きたいのか」を書きます。
経験の棚卸しは、一人だと見落としやすい
5つとも、紙とペンがあれば今日から始められます。
ただ、実際にやってみると、多くの方が同じところで手が止まります。
この記事の前半でお伝えしたとおり、自分にとって普通のことは、自分では価値に見えないからです。
20年の経験がある方ほど、「こんなことは誰でもできる」と書き出す前に消してしまいます。
私は、介護の専門家ではありません。
私が得意なのは、その人がすでに持っている経験、資格、得意なこと、思いを整理して、「お客様がお金を払って頼める仕事」に変えることです。
会社員時代には、マーケティング、営業、経営戦略などに長く携わってきました。
フリー介護士養成講座では、セミナー、グループコンサル、個人コンサルを通して、一人では見えにくい自分の強みを、一緒に言葉にしていきます。
グループコンサルでは、同じように50代・60代から新しい働き方を始めた先輩の話も聞けます。
資格を取る場所と、仕事を作る場所は違います。私の講座は、仕事を作る場所です。

50代・60代は、ゼロからのスタートではありません
50代・60代になってから新しい働き方を始めると聞くと、「今さら遅い」と思う方もいるでしょう。
でも、私は逆だと思っています。
20代の人には、20代の強みがあります。
そして50代・60代には、今まで積み重ねてきた経験があります。
何人もの高齢者を見てきた。
何人ものご家族と話してきた。
うまくいったこともある。
失敗したこともある。
職場で悩んだこともある。
介護の理想と現実の違いも知っている。
その全部が、これから自分の仕事を作る材料になります。
50代・60代からフリー介護士を考えるということは、ゼロから新しい仕事を始めることではありません。
これまで積み重ねてきたものを、
「会社の中で使う経験」から、「自分の仕事として使う経験」へ変えていくこと
なのです。
最後に|何から逃げたいかではなく、何を実現したいか
もし今、「今の職場を辞めたい」だけが理由なら、すぐにフリーになる必要はないと思います。
フリーになれば、すべてが楽になるわけでもありません。
自分で考えることも増えます。
自分で決めることも増えます。
だから大切なのは、
何から逃げたいかではなく、これから何を実現したいか
です。
- 利用者さんと、もっとゆっくり関わりたい
- 自分の経験を活かしたい
- 施設ではできなかった介護をしてみたい
- 年齢に合わせて、自分のペースで働きたい
- ご家族の困りごとまで支えたい
そんな思いがあるなら、フリー介護士という働き方は、一つの選択肢になるかもしれません。
最初から答えを出す必要はありません。
まずは、知る。
考える。
人の話を聞く。
自分の経験を振り返る。
そして、小さく試してみる。
そこから始めれば十分です。
これまで介護の現場で積み重ねてきた経験は、決して無駄にはなりません。
これからは、その経験を、
「自分はどんな人の役に立ちたいのか」
という視点で、もう一度見直してみてください。
そこから、自分らしいフリー介護士の働き方が見えてくると思います。
介護保険の枠の外で働くという考え方の全体像は、こちらにまとめています。
「知る」ための最初の一歩として、フリー介護士という働き方を、7日間の無料メール講座で順を追ってお伝えしています。
経験をどう仕事に変えるのか、最初のお客様をどこで見つけるのか、今の仕事を続けながら始めるにはどうすればよいのか。
まずは、全体の流れをつかんでください。


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