フリー介護士

マッサージを「ケア」と言い換えても同じです|無資格でどこまでしてよいか、条文と国会答弁で整理しました

ハンドクリームを塗っているところ フリー介護士

「メニューを『ケア』にしておけば、大丈夫ですよね」

介護美容のお仕事を始めた方から、この質問をとてもよくいただきます。

 

残念ですが、大丈夫とは言えません。

 

法律上の「あん摩・マッサージ・指圧」にあたる施術を、国家資格のない方が仕事として行うことは禁止されています。

そして、禁止されているのは行為です。

メニューの名前ではありません。

 

ですから、「マッサージ」を「ケア」に書き換えても、実際にしていることが変わらなければ、判断は変わりません。

 

ここまでを読んで、手が止まった方もおられるかもしれません。

 

けれど、この記事でお伝えしたいのは「やめてください」ではありません。

 

実は国は、「無資格の手技は全部だめ」とは言っていません。

処罰の対象になるのはどこまでか、最高裁判所がはっきり線を引いています。

 

その線を知らないまま、インターネットの「違法です」という言葉だけを見て、学んだことを全部しまい込んでしまう方がおられます。

とても、もったいないことです。

 

この記事では、条文と国会での政府の答弁をたどって、次の3つを整理します。

 

  • 法律で言う「マッサージ」とは、どこまでを指すのか
  • 無資格で行ったときに、何が、いくらの罰則になるのか
  • 処罰の対象と、そうでないものを分けている物差しは何か

 

読み終わると、「大丈夫ですよね」と誰かに聞かなくても、ご自分で見当がつけられるようになります。

 

第1章:結論|決まるのは「名前」ではなく、「何をするか」と「害を及ぼすおそれ」です

先に結論を書きます。

 

法律の判断は、次の2つで決まります。

 

  1. 実際に何をしているか(押しているのか、もんでいるのか、塗っているのか)
  2. その行為が、人の健康に害を及ぼすおそれがあるか

 

メニューの名前、チラシの言葉、肩書き、持っている民間資格の名前は、どれもこの2つに入っていません。

 

だから「ケア」に言い換えても守られませんし、逆に「マッサージ」という言葉を使ったこと自体で罰せられるわけでもありません。

 

この2つを、第2章から順に見ていきます。

 

なお、この記事はあん摩マッサージ指圧師の法律という1つの法律の話です。

介護美容には、ほかに美容師法と医師法もかかわってきます。

3つまとめた全体像は、介護美容と美容師免許の記事にまとめてあります。

 

第2章:「マッサージ」の定義は、法律のどこにも書かれていません

まず、意外に思われるところからお伝えします。

 

「マッサージとは何か」は、法律の条文に書かれていません。

 

これは推測ではありません。

国会で質問され、厚生労働省がそう答えています。

 

令和4年11月9日の衆議院厚生労働委員会で、政府参考人はこう答えました。

今お尋ねいただきましたマッサージの定義でございますけれども、今先生御紹介いただいたあはき法、いわゆるあはき法の条文上、また法令上、具体的に規定をされているものは正直言ってございません

 

条文にない、とはっきり答えています。

 

では、何を見て判断しているのか。

答弁は、そのまま続きます。

 

ただ、昭和五十八年に発行されております旧厚生省の解説本によりますと、あんま、マッサージ、指圧とは、疾病の治療又は慰安の目的を持って、人の体の各部を押し、引き、もみ、なで、さすり、たたくなどの施術を行うことというふうにされているところでございます

 

この一文が、いま出回っている「マッサージの定義」の出どころです。

 

条文ではなく、昭和58年に出た旧厚生省の解説本が元になっています。

 

「なで」「さすり」も入っています。しかも目的に「慰安」が入っています

この定義を、分解して見てください。

 

手の動かし方として挙がっているのは、6つです。

 

  • 押し
  • 引き
  • もみ
  • なで
  • さすり
  • たたく

 

「なで」と「さすり」が入っています。

 

強くもまなければ平気、という理解は、ここで崩れます。

 

そして目的として挙がっているのは、2つです。

 

  • 疾病の治療
  • 慰安

 

「慰安」は、くつろいでいただくこと、気持ちよくなっていただくことです。

 

治すつもりはない、癒やしのためだから平気、という理解も、ここで崩れます。

 

介護美容の現場でよく語られる「強くしないから大丈夫」「リラックスのためだから大丈夫」は、どちらもこの定義の中に入ってしまいます。

 

だからといって、ハンドクリームを塗ることまで禁止されてはいません

ここで、不安になりすぎないでください。

 

手が触れることすべてが禁止されているわけでは、もちろんありません。

 

乾いた手にハンドクリームを塗って、保湿する。

これは介護の日常のケアであって、国家資格が要るとはされていません。

 

では、保湿と施術の間のどこかに線があることになります。

 

その線が何なのかを、第4章で見ます。

その前に、罰則を正確に押さえておきます。

 

第3章:条文は2つ、罰則は50万円以下の罰金です

根拠になる法律は、これです。

 

あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律
(昭和22年法律第217号。「あはき法」と呼ばれます)

 

介護美容にかかわるのは、この法律の中の2つの条文です。

 

1つめ。第1条です。

医師以外の者で、あん摩、マツサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを業としようとする者は、それぞれ、あん摩マツサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許(以下免許という。)を受けなければならない。

 

あん摩・マッサージ・指圧を業とするなら、免許が必要だという条文です。

 

2つめ。第12条です。

何人も、第一条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならない。

 

こちらは、あん摩・マッサージ・指圧という名前がつかない手技についての条文です。

「医業類似行為」が何を指すのかは、第4章で扱います。

 

罰則は、第13条の7に書かれています

第1条、第12条のどちらに違反しても、罰則は同じです。

 

第13条の7第1項に、こう書かれています。

 

次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第一条の規定に違反して、あん摩、マツサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを業とした者
(中略)
四 第十二条の規定に違反した者

 

五十万円以下の罰金です。

 

この記事では、罰則を「五十万円以下の罰金」(あはき法第13条の7第1項)で統一しています。

 

※ 令和7年6月1日時点で施行されている条文によります。e-Govの法令検索で原文を開いて確認しました。

 

インターネットの解説には「30万円以下の罰金」と書いているものもあります。

同じあはき法の第13条の8にも「三十万円以下の罰金」はありますが、こちらは広告の制限(第7条)や届出義務(第9条の2)への違反など、別の違反に対するものです。

無資格でマッサージを業として行った場合にあたるのは、第13条の7第1項のほうです。

 

そして実際に、逮捕された事例もあります。

先ほどと同じ令和4年11月9日の委員会で、政府参考人はこう答えています。

 

平成十六年に、無免許でマッサージを行っていた運営会社の社長らが、いわゆるあはき法第一条に違反をして逮捕された事例があるというふうに承知しているところでございます

 

条文があるだけで動いていない、という話ではありません。

 

この法律は「名乗ってはいけない」法律ではなく、「してはいけない」法律です

ここを取り違えておられる方が、たくさんおられます。

 

資格には、2つの型があります。

 

型 何が禁止されているか
名称独占 その名前を名乗ることが禁止されている(例:介護福祉士と名乗る)
業務独占 その行為を仕事として行うことが禁止されている

 

あん摩マッサージ指圧師は、業務独占です。

 

同じ令和4年11月9日の委員会で、政府参考人はこう答えています。

あんま、マッサージ、指圧につきましては、これは施術者による独占業務ということになっております

 

名前を名乗らないようにすることでは、この法律は避けられません。
禁止されているのは、行為そのものだからです。

 

ここが、「ケアと言えば大丈夫」という理解が生まれてしまう場所です。

名称独占の法律だと思っていると、言い換えが解決策に見えてしまいます。

 

第4章:ただし、無資格の手技が全部処罰されるわけではありません

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

 

第12条を文字どおりに読むと、「あん摩・マッサージ・指圧以外の手技も、全部してはいけない」と読めます。

 

けれど、そうは運用されていません。

 

最高裁判所が、処罰の範囲を限定する判断を出しているからです。

 

昭和35年の最高裁判決が引いた線

令和4年11月9日の委員会で、議員がこの判例について質問しました。

政府参考人の答えが、そのまま答えになっています。

 

昭和三十五年の最高裁判決におきましては、医業類似行為について、禁止処罰の対象となるのは人の健康に害を及ぼすおそれのある業務に限定されるというふうに判示されているところでございます

 

禁止と処罰の対象になるのは、「人の健康に害を及ぼすおそれのある業務」に限られます。

 

これが、駅前のリラクゼーションのお店が、国家資格のない施術者をおいて営業できている理由です。

 

条文が守られていないのではありません。

条文の届く範囲が、判例で絞られているのです。

 

厚生労働省が言う「医業類似行為」とは

では、厚生労働省は「医業類似行為」をどう考えているのか。

同じ答弁の中に、説明が出てきます。

 

医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある医行為ではないが、一定の資格を有する者が行わなければ人体に危害を及ぼすおそれのある行為

 

長いので、表にして読んでください。

 

区分 中身 誰が行えるか
医行為 医師の医学的判断と技術がなければ、人体に危害を及ぼすおそれがある行為 医師など
医業類似行為 医行為ではないが、一定の資格を持つ者が行わなければ、人体に危害を及ぼすおそれがある行為 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師など
どちらにも当たらない行為 人体に危害を及ぼすおそれがあるとはいえない行為 資格の定めはない

 

答弁は、医業類似行為に含まれるものとして、あん摩・マッサージ・指圧、はり、きゅう、柔道整復を挙げ、さらにこう続けています。

 

それら以外の手技、温熱などによる療術行為であって人体に危害を及ぼすおそれのあるものというものが含まれる

 

「手技であること」ではなく、「危害を及ぼすおそれがあること」が条件になっています。

 

そのうえで、該当するかどうかは「個々の事情を総合的に勘案して判断」されます

では、ご自分のしている施術はどちらなのか。

 

議員が、リラクゼーションやボディケアは違法になるのかと直接聞いています。

答えはこうでした。

 

今委員お尋ねございましたボディーケアなどの施術について、これがその医業類似行為に該当するかどうかという点につきましては、個々の事情を総合的に勘案して判断することになるものというふうに考えているところでございます

 

一律の答えは、国も出していません。

 

これは、はぐらかされているのではありません。

 

同じ「手をさする」でも、

 

  • どなたに対して
  • どんな体の状態のときに
  • どんな目的で
  • どのくらいの強さと時間で
  • どう説明して

 

行ったかによって、人の健康に害を及ぼすおそれは変わります。

 

だから、行為の名前では決められないのです。

 

そして、ここが介護職の方にとって大事なところです。

 

人の健康に害を及ぼすおそれを小さくする働き方は、ご自分で選べます。

 

第6章で、具体的に挙げます。

 

第5章:介護美容でよくある場面を、この物差しで並べてみます

第2章の定義と、第4章の「害を及ぼすおそれ」という物差しを使って、実際の場面を並べます。

 

先にお断りします。

この表は「ここまでは安全です」という線引きではありません。

どこを見られているかを示す表です。

 

していること 法律から見た考え方
「ハンドマッサージを学びました」と、自分の経歴として話す 言葉を使うこと自体を禁じる条文はない
乾いた手にハンドクリームを塗って保湿する 日常のケアであり、国家資格が要るとはされていない
オイルを使って、手や腕をさする 「なで」「さすり」は定義に入っている。目的・強さ・相手の状態で判断が変わる
筋肉をもみほぐす、ツボを押す、指圧する 法律上のあん摩・マッサージ・指圧にあたる場合、国家資格が必要
肩や腰の痛みをやわらげる目的で、手技を行う 「疾病の治療」の目的に入る。該当する可能性が高い
「ハンドケア」と名前を変えて、同じ手技を行う 名前ではなく、実際の施術で判断される
「肩こりが治る」「血流が良くなる」とチラシに書く あはき法の前に、薬機法・景品表示法の問題になる

 

表を見ていただくと、分かれ目が名前でないことがはっきりします。

 

上から3つめと4つめは、どちらも「手に触れる」ことです。

けれど、見られているところが違います。

 

料金を「訪問1回」にしても、行為の判断は変わりません

料金のつけ方について、よく誤解されます。

 

施術ごとに単価を並べるのをやめて、「訪問1回・60分」でお代をいただく形にする。

これは売り方として、とても良い形です。

 

理由は2つあります。

 

ひとつ。施術の単価を並べると、施術そのものを商品として売っていることが、紙の上にはっきり出ます。

 

ふたつ。単価を並べると、お客様は値段を見比べます。

比べられたら、安いほうが選ばれます。

 

料金の考え方は、介護美容のメニューと値段の記事に詳しく書いてあります。

 

ただし、ここを間違えないでください。

 

料金のつけ方を変えても、その日に実際に行った行為についての判断は変わりません。

 

訪問1回のサービスとしてお代をいただいていても、その60分の中で筋肉をもみほぐしていれば、もみほぐした行為は、もみほぐした行為として見られます。

 

料金表は、法律を変える道具ではありません。

 

第6章:「害を及ぼすおそれ」を小さくするために、できること

判断するのは、ご自分ではありません。

ですから、「これをやれば大丈夫」とは書けません。

 

けれど、人の健康に害を及ぼすおそれを小さくする働き方は、ご自分で選べます。

 

そして、そのやり方は介護職の方がすでに身につけておられるものです。

 

① 実際にする行為を、自分の言葉で決めておく

「ハンドケア」のような、まとめた名前のままにしないでください。

 

その60分で何をするのかを、動作で書き出します。

 

  • 手を温める
  • 爪の形を整える
  • クリームを塗って広げる
  • 手を握って、ゆっくり開いていただく

 

書き出すと、「これは押しているのか、塗っているのか」がご自分で見えます。

 

見えないまま続けるのが、いちばん危ないやり方です。

 

② その日の体の状態を見て、やらない判断をする

皮膚が弱っている。

腫れている。

痛みがある。

 

こういうとき、人の健康に害を及ぼすおそれは一気に上がります。

 

やらない、という判断ができることが、専門性です。

 

爪や皮膚については、医師法の側の決まりがあります。

介護職が原則として行ってよい行為の一覧は、厚生労働省の通知3本を整理した記事にまとめました。

 

③ 主治医やご家族に確認して、記録を残す

持病のある方、服薬のある方に手技をするときは、先に主治医に確認してください。

 

そして、何をしたか、どう説明したか、どんな状態だったかを記録します。

 

記録は、お客様のためでもあり、ご自分を守るためでもあります。

 

④ 効果や効能を書かない

「治る」「改善する」「血流が良くなる」と書かないでください。

 

こう書くと、「疾病の治療」の目的があることを、自分で書いて示したことになります。

 

そのうえ、薬機法や景品表示法の問題にもなります。

 

伝えるのは、効果ではなくお客様が過ごされる時間のほうです。

 

言葉の選び方は、伝わる言葉を探した記事にも書いてあります。

 

⑤ 迷ったら、保健所か都道府県の担当課に聞く

最後は、これです。

 

あはき法では、施術者への指示の権限は都道府県知事にあります(第8条)。

保健所を設置している市と特別区では、市長または区長です。

 

令和4年11月9日の答弁でも、こう述べられています。

施術者に対する指導権限につきましては、都道府県知事等が有しているという整理になっている

 

つまり、聞く先は国ではなく、お住まいの地域の保健所や都道府県の担当課です。

 

聞き方には、こつがあります。

 

「ハンドケアをしてもいいですか」と聞かないでください。

名前で聞くと、相手も名前で答えるしかありません。

 

そうではなく、行為で聞きます。

 

要介護のご高齢の方のお宅へ訪問して、クリームを塗って手を保湿し、爪の形を整えます。もむことや、ツボを押すことはしません。お代は訪問1回でいただきます。これはあはき法に触れますか。

 

ここまで具体的にすると、答えが返ってきやすくなります。

 

そして、答えてくださった日付と、担当課の名前を記録してください。

 

一人で抱えて考え込む必要はありません。

聞ける先が決まっているというのは、それだけで気持ちが軽くなります。

 

事故は、実際に起きています

人の健康に害を及ぼすおそれを小さくすることは、建前の話ではありません。

 

令和4年11月9日の同じ委員会で、消費者庁がこう答えています。

 

消費者庁の事故情報データバンクに寄せられましたマッサージ等の手技による危害・危険件数は、令和二年度で三百四十六件、令和三年度で四百十九件となってございます

 

この件数は、資格制度のある施術とない施術の両方を含んだ数字です。

 

そのうえで、こう続いています。

 

消費者庁による平成二十九年度の調査におきましては、法的資格制度がない施術による危害・危険件数は毎年度二百件前後で推移していた

 

資格制度のない施術だけで、毎年度200件前後です。

 

国が無資格の手技を見ている理由は、ここにあります。

取り締まりたいからではなく、けがをされた方がおられるからです。

 

第7章:学んだことは、無駄になりません

ここまで読んで、こう思われた方がおられるはずです。

 

「では、ハンドマッサージの資格を取った意味は何だったのか」

 

意味は、あります。

 

手の構造を知っていること。

触れる強さを加減できること。

皮膚の変化に気づけること。

 

これは、学んだ方にしかできないことです。

 

そして第6章で挙げた5つは、学んだ方のほうが、きちんとできます。

 

ハンドマッサージの講座や民間資格を否定するつもりは、まったくありません。

 

ただ、はっきりさせておきたいことが1つあります。

 

民間資格を取ったことで、法律上できることが増えるわけではありません。

 

あはき法の免許は、国家試験に合格して登録を受けた方に与えられるものです。

何日間かの講座で取る民間資格は、この免許とは別のものです。

 

これは、民間資格の価値が低いという話ではありません。

役割が違うという話です。

 

技術があることと、それで仕事になることは、別の学びです

ここが、介護美容の資格を取られた方のいちばんの詰まりどころです。

 

資格を取ると、技術が手に入ります。

けれど、技術はそのままでは商品になりません。

 

商品になるには、こういうことを決める必要があります。

 

  • どなたの、どんな困りごとに応えるのか
  • 60分で何をするのか
  • おいくらにするのか
  • どう伝えるのか
  • 最初のお客様に、どうやって出会うのか

 

法律の線を知ることは、このうちの「60分で何をするのか」を決めるための材料です。

 

線が見えていないと、何も決められません。

決められないから、動けません。

 

逆に言えば、線が見えたら、決める作業に入れます。

 

そして、決める作業には介護美容以外の持ちものも使えます。

介護の経験、ご自分の趣味、得意なこと。

 

組み合わせ方の例は、介護と介護美容を組み合わせた記事にあります。

 

資格を取ったのに仕事になっていない理由については、介護美容で独立する記事にまとめました。

 

第8章:まとめ

この記事の要点は、6つです。

 

  • 「マッサージ」の定義は、法律の条文に書かれていません。いま使われている定義は、昭和58年の旧厚生省の解説本によるもので、「疾病の治療又は慰安の目的を持って、人の体の各部を押し、引き、もみ、なで、さすり、たたくなどの施術を行うこと」です
  • 「なで」「さすり」も、目的の「慰安」も、定義に入っています。強くしないから、癒やし目的だから、という理由では線の外に出られません
  • あはき法は業務独占です。禁止されているのは行為であって、名前ではありません。「ケア」に言い換えても判断は変わりません
  • 第1条・第12条に違反した場合の罰則は50万円以下の罰金です(第13条の7第1項)。平成16年には逮捕事例もあります
  • ただし、無資格の手技が全部処罰されるわけではありません。昭和35年の最高裁判決により、禁止と処罰の対象は「人の健康に害を及ぼすおそれのある業務」に限定されています
  • 該当するかどうかは「個々の事情を総合的に勘案して判断」されます。だからこそ、行為を自分の言葉で決め、その日の状態を見て、確認し、記録することに意味があります

 

そのうえで、いちばん大事なことを書きます。

 

言い換えでしのごうとすると、ずっと不安が残ります。
行為で考えると、その不安が消えます。

 

「ケアと言っておけば大丈夫だろうか」と思いながら施術をしている間は、いつまでも落ち着きません。

 

けれど、「自分は塗って整えるところまでをする。もむことはしない。痛みがあるときはしない」と決めてしまえば、その日から堂々とできます。

 

そして、堂々としている方のところに、お客様は来てくださいます。

 

おびえながらする施術と、決めたうえでする施術は、受けておられる方に伝わります。

 

法律を知ることは、怖くなるためではありません。

怖くなくなるためです。

 

なお、実際の判断は、お住まいの地域の保健所や都道府県の担当課にご確認ください。

勤務先がある方は、就業規則と事業所のルールも必ず確認してください。

 


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出典

 

※昭和35年1月27日の最高裁判所大法廷判決(刑集14巻1号33頁)の判示内容は、令和4年11月9日の衆議院厚生労働委員会における政府参考人の答弁によっています。

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